novel*00
□夏祭り
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茹だるような真夏日に行われる夏祭り。
夜になって幾分か涼しくなる時間帯でも、人々の熱気でそんな僅かな温度差なんて感じられなかった。
夏祭りといえば浴衣!と、ソレスタルビーイングの女性クルー達は大騒ぎして、ティエリアなんかに緊張感が足りん!と叱咤されていた。
だが、興奮した女性クルー達に何を言っても無駄で、その騒ぎに巻き込まれてしまったのだ。
決して祭りが嫌いなわけではない。
むしろ好きだ。
賑やかなことが好きという根本的な理由もあるだろうが、何せ騒ぐと嫌なことを忘れられる。
ソレスタルビーイングに入ってから夏祭りなんて来たことなかったが、それでも仲間だけでやるどんちゃん騒ぎでは嫌な記憶も一時的に飛んだ。
だが今日はそんな理由で夏祭りが楽しみだったわけではない。
女性クルー達に巻き込まれたマイスター達も浴衣を着させられる羽目になった。
ロックオンが着る浴衣は、ターコイズブルーを基調に作られ、模様というよりは色の明暗に美しさを感じるようなものだった。
刹那はというと、かなり嫌々だったものの女性クルー達に負けて渋々浴衣を着ている。
女物の浴衣でいんじゃない?とスメラギは言っていたが刹那が断固拒否していたため、一様男物の浴衣を着ていた。
刹那の浴衣はセルリアンブルーの鶴が刺繍されたものだった。
男物の浴衣にしては少々豪勢だったが、それはそれで似合っていたからいい。
「へぇ、案外似合うもんだなぁ」
頬杖を付いたまま襟を合わせる刹那の背中に投げかける。
緩く開いた胸元。歩くと僅かに見える足。
すべてがいやらしい。
浴衣とはこんなにもそそるものだったか。
まだソレスタルビーイングに入っていなくて、テロで両親が亡くなっていなかった頃、男女4人ずつぐらいで夏祭りに出掛けたことがあった。
その時女の子達は浴衣を着てきれいな項が覗いていて共にいた男共がそそられると言っていたのを思い出した。
着物と違って浴衣は薄着なため体のラインが出やすい。
そのためか、刹那の細い腰や足がわかる。
…あいつらが言っていたのはこーゆーことか…
確かにそそられる。
無意識に目がそちらに泳いで下半身が疼く。
今すぐその小さな体を押し倒して貪りたい。全て暴きたい。
そんな衝動に駆られる。
じっと見られて恥ずかしいのか、頬を少し染めて眉を歪める刹那と目が合った。
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