novel*00

□強く強く
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「背が伸びたな、刹那」
もう少しで追い付かれそうな背に、4年という年月を切に感じた。
4年とは長くもあり短くもあり、人間が大きく変化する期間だ。
その期間の中で刹那は本当に大きく、豊かに成長した。

――少し遠くなった。そう、思った。

「そう言うお前は変わらないな」
いや、一拍置いてそう言って、
「だが、変わった」
以前はくすりともしなかった刹那が容易く笑みを浮かべる。
その変化が愛おしい。

さらさらの、ティエリアの髪の毛を梳くように片手で撫でるその手は優しくて。

徐々に近付いてくる刹那の顔につい見惚れてしまって。
僅かに持ち上げられた紫の髪に優しく口付けされたのと、自分の唇にそれが移動してくっついたのに少し時間を掛けてしまった。

「なっ!」

きっと真っ赤になっているだろう顔とまだ刹那の温もりが残る唇を塞いで。

「 俺達はこんなに近い。ティエリアが望めばもっと近くなる」
そうだろ?と再び顔が近付く。

――ああ、刹那はわかっているんだ。

この喜び、悲しみ、辛さを――

まだ簡単に触れ合うことのできる距離。
その距離を今度は自分から近付けよう。

以前はその両腕に僅かに余ったその肢体は、今や抱き締めるのが僅かばかり辛い。
だがそれは刹那の成長。

――ああ、愛しい…

ぎゅう…と両腕に力を入れればそれに応えるように刹那もティエリアを強く抱き締めてくれる。


――この温もりを手放さないように強く強く……――






→あとがき
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