novel*00

□彼は彼で、君は君
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「刹那」

「ティエリア?」
トレーニングを終えた刹那は自室に向かおうとしていた。
その刹那の背後から名前を呼ばれる。
どうした?と聞けば、険しい表情ばかりされるだけだ。
黙ったままだったが、なんとなく彼が言おうとしていることがわかる。
「・・・ライルのことか」
「・・・何故、彼を連れてきた」
やはりそうか、と少し目を細める。
「彼が、ロックオンがそれを望んだからだ」
「・・・彼?ライル、ではなくてか?」
「そうだ。ニールは自分が死んだら、弟に次の代を引き継いで欲しいと思っていた」
ティエリアは虚を付かれたように目を見開く。
「だがっ、」
「ああ、それでもライルはどれだけ能力があるかわからない。だからニールは自身でライルのことを調べてた」
それは彼、ロックオンと特別な関係だったからこそ教えられたことだ。
そして、刹那はおもむろにソレスタルビーイングの制服の胸ポッケから1つのチップを取り出す。
そしてそれをティエリアへと渡す。
「・・・これは?」
「ニールが調べていたものだ」
「!」
「その中には、ライルが今までどういうことをしてきたかが入っている」
「・・・何故、俺に見せる?」
怪訝そうに見てくるティエリアに、少し笑うように、
「お前を信頼しているからだ」
「っ!」
途端、ティエリアの白い顔が真っ赤に染まった。まるで小さな爆発みたいに、ぼん、と音を立てて。
「どうした?」
「なっ、なんでもない!」
本当に意味がわからないと言うよう首を傾げる刹那に、それから背を背けるようにティエリアは去って行ってしまった。
きっと渡したチップのデータを見に行ったのだろう。
さて、トレーニングで疲れた体を休ませようと、自室に向かう足を進める。
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