novel*鋼錬
□今日も空は青いです。
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例の、ハボックとエドワードのキス以来東方司令部には不穏な空気が流れていた。
ロイとハボック以外の面々は、事の真相を知らないためその空気だけを敏感に察知していた。
ハボックもあまりロイの目を見ることがない、というよりは目を逸らし、ロイに至ってはハボックに集中的に仕事を渡していた。
「ハボック、まだ終わらないのか」
「・・・もうちょっと待ってくださいよ・・・」
「遅い!」
「・・・」
何故こうなったのか知らない面々からするとロイの行動は理不尽極まりない。
だが、ロイ自身仕事もちゃんとやっているし、ハボックに仕事が行くおかげで仕事の進みも正直いい。
そのためかホークアイもロイの暴挙にはあまり口出しをしないようだった。
「大佐、その書類が終わったら今日は上がっていただいてかまいません」
「そうか、わかった」
そう言ってその書類が終わったのが午後3時。丁度おやつの時間だ。
確か今日はエルリック兄弟がイーストシティに帰ってきているという。
だが、それを知ったのは数時間前。ホークアイから口伝で知った事だ。
だからこの後のあの兄弟の行動は知らないし、ロイが道を歩いていて出会えるという保障はない。
だがなんとなく、道を歩いていれば出会えるんじゃないかという運命的なものを感じている自分がいる。
「では、私は先に上がらせてもらう」
そうして颯爽と出て行くロイに、ハボックが恨めしそうに見ていたのはその部屋にいた面々のみぞ知る。
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