novel*鋼錬

□アイアイ傘
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やまない雨だね…

そう、呟けば君はうつむいた。
その小さな肩が濡れないように傘を傾けて中にしっかりと入れる。
傘は2人で入るには少し小さい。少し傾ければ自分の肩に雨が降る。
それに気がついたのか、金の瞳で私を見上げてすこし寄り添った。
あの愛くるしい笑顔のまま、自分の腕を抱く細い腕は小さく震えている。

――雨が、やまなければ

そうすれば君はこんなに近い。

――ちゃんと今日は、この想いを伝えるんだ

――君のこと、あきれるほど好きになった…―って

アイアイ傘の中で。
こもった感情を素直に伝えないまま。
でも終わりにしないように。
通りすぎる雨がせかしている気がする。

近づいた2人の雨恋。



⇒あどがき
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