バサラ小説

□余計に苦労が増えました
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「うわぁ最悪…本当に最悪…」

はぁ…なんなんだ?俺様なんか悪い事しましたかね仏様?
いや人は何人も殺めてますがねさすがにこれは…

ブツブツそう呟いてからハッとして佐助は幸村を振り返った。

「旦那っ!!!」
「おっうおっ…何だ?」
「竜の旦那達いつぐらいに来るって言ってたっけ?」
「明日か明後日ぐらいに…と文には書いてあった…」
「…あの竜の旦那の事だ…早くて今日には………旦那…」
「…わかった…しばらく佐助は偵察に行っておると片倉殿に伝えれば良いのだろう?」
「うん…お願いします」

佐助は片倉小十郎が苦手だった。
主達が仲良く手合わせをしてる間に必然的に残される保護者組である佐助と小十郎は特に会話を交わすことはない。
というのも佐助は一生懸命話しかけていてるのに、短い一言で返されるのだから長く会話が続かないのだ。
仕方がないとその場を後にしようとすれば何故か引き止められ、断れば必ず舌打ちをされいいからここにいろと隣に座らせてその腕はガシリと掴んだまま…それが今度は何処かいい所を教えろとかいいつつ佐助の方が振り回されるのだから佐助は本当にその片倉小十郎という男の扱いに困っていた。
そんな事を普段から愚痴っていたため幸村には自分がどれだけその男が苦手だかわかっている。
なので、了承してくれて佐助は本当に助かったし愚痴っていて良かったとも心底思った。
主に愚痴るというのはどうかと思うがまあそこは佐助なので置いておこう…。
とりあえずはこの後どうするか…と佐助は顎に手を当て考えた。
本当に離れるわけにもいかない…そして先ほどの幸村の言葉を思い出す。



お前の烏が変化した時の姿に…



「そっか勘九郎に変装すればいいんだっ!!」

そうすればあの苦手な竜の右目の目を誤魔化せるかもしれないと佐助は早速茜色の髪の毛を黒に染めようと自分に当てられた屋根裏にある部屋へと向かった。
変装してから勘九郎を呼び絶対変化しないようにと伝え、勘九郎にととっておいた忍装束を身にまとう。
完璧かと聞けば勘九郎は烏の姿で一つ頷いてカァッと鳴いた。

「まあ…何をするでもなく見守ってるだけしか出来ないだろうけどね」

そう一人ごちて佐助は部屋を出た。


 
 
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