バサラ小説

□猫忍
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「うわっと…あぶねぇ」
「降りてこい」
「嫌だよ…ってか主放っておいていいわけ?」
「…大丈夫だ」
「ほんとかよ…とにかくお願いだからお引き取り願います…俺様絶対ここから離れませんから」
「…ッチ」

舌打ちと共に自分のいる木から離れる小十郎に佐助はほぅっと息を吐いた。
これで今日は平穏無事に過ごせる…やったね俺様…とかなんとか思っていれば下にいる小十郎のニヤリッと笑った顔が視界に入って…。

(あれ…なんか嫌な予感)

「わかった…今日は仕方ねぇから退こう」

やけに素直だ…と思ったが佐助は先程の顔を見てしまったので喜ぶに喜べない。
それに今日はということは…後日にまた身に危険が迫るということである…。
無表情の仮面の下で何を考えているのかわからないから余計に怖い。

「今なら酷くはしねぇ」
「え」
「十秒数えるうちに気が変わって降りてくんなら酷いことはしねぇが…まあその気がねぇなら…後で…」

その後の小十郎の顔は正に極悪人のような顔で、この間よりももっと執拗に攻められるのかと思うとゾッとした。

「そっそんなの…」
「十…九…」
「まっ、待ってよ…」
「八…七…」
「俺様…」
「六…五…」
「…」
「四…三…二…一…」
「わあああぁっ行きます行きますっ!!!」

半べそで降り立てばすかさず腕を取られ、耳元で遅かったなと小十郎は言った。

「零だ…」
「ちょっと、俺様ちゃんと来たじゃん!!!」
「だが零になる前に来なかったじゃねぇか…今夜は寝かせねぇぞ?」
「勘弁してよぉ…」

カリッと猫耳の方を軽く噛まれて語尾が甘い声に変わった。

「お願い…やだ…」
「…のわりには随分と感じてるみたいだが?」
「うわわっ…待って!!待てって!!!ここでやるつもりかよ?!」
「焦らして煽ったお前が悪い」
「煽ってないし焦らしたつもりもない!!!って聞いてないし!!!っあ…んっ…もう…いやだあああああ!!!」

佐助の叫び声が森の中で木霊したがしかし誰も森の深くまで助けに来るわけもなく…佐助はその日、日が傾き腰が砕けて動けなくなるまでおいしくいただかれちゃいましたとさ。


 
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