バサラ小説
□猫忍
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「厄介な病にかかっちゃった…」
はぁ…とため息を吐く佐助の頭には髪の毛の色と同じピョコピョコと動く獣の耳、そしてお尻からはブラブラと動く尻尾…。
「佐助!!!団子を作ってくれ!!!!」
そう言って庭に裸足で出てきた己の主にも同じものがついていて…。
「あの時に豊臣にさえ行かなければ…」
その獣の耳や尻尾は見ればまさに猫のそれであり、先日ついでにと忍びこんだ豊臣の軍師の一人である黒田官兵衛が同じように獣の耳を生やして竹中半兵衛に泣きついてる所を目撃して、自分はああはなりたくないなと思っていた所に…。
数日後…生えてしまったのである。
それもどうやら主にもうつってしまったらしく栗色の耳と尻尾が元気よくピョコピョコブラブラと動いていた。
「ああああっ!!!絶対あの人に見られたらまずいよヤバイよっ!!!!!うぁああああっ!!!!」
「佐助っ?!どうしたのだ?!!」
木の枝の上で頭を抱えて叫び出した佐助に主の幸村は心配そうに声をかけるが佐助は何やらヤバイヤバイよとブツブツ呟いたまま反応しなかった。
「見られなきゃいいんだよね、そうだよね。それにあの人は主しか見えてない人だから大丈夫だよね…うん、大丈夫大丈夫」
呪文のように繰り返し言ったあとよしっと顔を上げた途端に見たくもない人が今まさに主と共に城の門に向かって来ているのが見えて佐助はなんて運が無いんだ自分と再び頭を抱えた。
「旦那」
「なんだ佐助?」
「俺様ちょっと外見回ってくる」
「うむ。その前に…」
「何?」
「団子を…」
「他のやつに頼んでよ俺様今は嫌だ」
「何故だ?」
「とにかく嫌なの…ほらお客さん来たから行きなよじゃあね」
佐助がその場からシュンッと消えたと同時に幸村ぁー!!!と叫びながら来訪者である伊達政宗が走ってきた。
その後ろからやれやれとため息を吐きながら歩いて片倉小十郎もついてくる。