バサラ小説
□約束は守ったり破ったり
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最近佐助はイライラしていた。
それというのも佐助の彼氏―小十郎の自分勝手な行動に振り回されていたからだ。
「ったく今日、家に来いって言ったの何処のどいつだよ」
明日は珍しくバイトの入っていない休日だからのんびりしてようと思っていたのに、急に夜、メールが来たのだ。
誰だと思って見れば『片倉さん』と出ていて…。
メールを開くと明日の夕方家に来いと短い文。
何かあるのかと思い翌日の夕方にこうして小十郎の住んでいるマンションに行ってみれば彼は家にいなかった。
なんだよと小十郎の携帯に電話を入れれば、
「あぁ佐助か…何か用か?」
だと言われ…佐助はキレて電話を切った。
何か用かってなんだよっ何か用かって!!!
折角来てやったのにこれだと佐助は苛立つ気持ちを隠しもせずに自分のアパートまでの道のりを口の中で文句をたらしながら歩いて行った。
アパートに着いてから佐助は知っている車がアパートの前に止まっているのを見つけて、すぐに自分の部屋の玄関に向かった。
解錠もせずガチャリとノブを回せばやはり開いていて…鍵を渡した覚えもないのに何故持ってるんだとは思っても不可能を時々可能に変える彼ならやりかねないとも思っていたので、佐助は早々に抗議やらちょっとした抵抗は諦めた。
とにかく上がりこめば彼は何処に行ってやがったと不機嫌そうに言ってきたので、携帯の受信ボックスを開き小十郎から送られてきたメールをバッと見せた。
「あんたが呼び出したんでしょーが…なのに何か用か?とか何処に行ってやがったとか…何だよそれ…新手の嫌がらせか!!!」
それを見てあぁと納得してないようなしているような声で相槌を打ってからソファに座ってすでにくつろいでいた小十郎は佐助を見上げた。
「あぁそれか…政宗様に急に呼び出されてな…忘れてた。悪いな」
悪いなと思っている態度ではない…佐助はヒクリと頬をひきつらせた。
それから落ち着け自分と軽く深呼吸する。
(…今までだってそうだったじゃん)
遠くまでドライブに連れて行ってくれたと思ったら用事が出来たから後は自分で帰ってくれとお金を渡されて置いていかれたり。
友達と遊ぶ約束をしていたのに夜景を見に行くだとか言われて有無を言わさず連れて行かれたり。
とにかく傍若無人ぶりを発揮している彼に普段からの不満がフツフツと沸き上がって来た。
「おいっ突っ立ってねぇで茶ぐらい出したらどうだ?」
その一言に佐助は自分の中で何かが切れる音を聞いた気がした。