バサラ小説

□聖なる夜のプレゼント
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「さむ…」

バイト帰り。
白い息を吐きながら佐助は歩いていた。
自転車はまだ乗れることには乗れるが使えば行き来は早くなる分体感温度的にキツイものがある。
だからと言って歩いていても寒いことには変わりないが…。

「はぁ…こんな日には好きな人と手を繋いだりして一緒にぬくぬくしたいなぁ」

なんて一人呟いてみる。
むなしいばかりに終わるのはわかっているが言わずにはいられない。
ついでに今日はクリスマス。
そんな日に悲しいかなバイトがあった…というか休みを取るのを幼なじみの真田幸村の世話や宿題やらなんやらですっかり忘れていたのだ。
しかしクリスマスといえば友達とより恋人と過ごす者達が多い。
例えば幸村は先輩であり佐助と同じクラスの伊達政宗と過ごすらしいし、佐助の友達の毛利元就は長曽我部元親に無理矢理連れられて何処かに行ったみたいだし、竹中半兵衛といえば豊臣秀吉と家族ぐるみで高級レストランに行くというし…。
バイトが入っていなくても結局佐助は一人ぼっちのクリスマスを過ごすことには変わりなかった。

「…寂しいな」

思わず出た言葉…なんだかユラリと視界が揺れた。

(ハッ…いけないいけない…たかがいつもと同じ一日…変わりやしないだろう)

とは思いつつも項垂れてしまう。
先程よりも寒く感じてブルリと震えてから早く帰ろうと早足で歩きだす。
両手共ポケットに突っ込んでマフラーに顔を埋めながらトボトボと…。


 
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