バサラ小説

□風邪…ひいちゃいました
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不覚だ…そうだとしか言えない…。
コホッと湿った咳をしだるい体にまさかと思ったが…。

「風邪…だな」

とあっさり忍仲間である才蔵に言われてしまっては認めざるをえなくなった。
表面上は普通に見えるのだから幸村や信玄がそれに気づくことはないだろう。
しかしだ…いくらわからなくても仕方ないが…そんな時に限って無茶苦茶な事をするのだ自分の主達は。
だるい体が余計にだるく感じるのは、殴り愛によって泥まみれになった着物を洗濯したからか…もしくは犬のように元気な主に付き合って鍛練をしたからか…もしくは突然訪問してきた双竜のせいか…。
なんなんだ…風邪を引いて何か悪いものでも引き込んでいるのか?(前者二つはもはや日常化してきているが)

「HEY!!猿飛!!茶ぁ入れろ茶」
「なんで俺様が…」
「早くしろ」
「へいへい」

何故この双竜は茶を自分に頼むんだ…というかちゃんと言われなくても客が来たら茶ぐらいこちらから出すわとブツブツ文句を言いながらすでに茶を入れて持って来ていた女中を一瞥してから庭先の木の枝に飛び乗った。
幸い今日は偵察も何も言い渡されてないので城の警護でもしていれば問題なさそうだと半ばボゥッとしはじめた頭を振りながらしっかりとしている木の枝に座りこんだ。
秋の冷たい風が頬に当たる。
普段は寒いと思うこの風も今は体が熱いのか心地よく感じる。
少し体を休ませていようと自分の鴉を呼んでギュウと抱き締めた。
すりすりと嘴をすりよせる鴉に笑みを向け休むから少し見張りを頼むと言って体を離してから瞼を落とし、傍に体をくっつけるようにしていてくれる鴉にホッとしながら意識をなくした。


 
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