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全てを終わらせるには遅く、全てを悟るには早すぎた。
終わらない。終われない。真実はそれだけ。ただ、それだけ。



陽の落ちた世界で演じるは禁じられた遊び。
明かりの灯らない室内で、戯れと称して、僕は二人のけものにたべられる。


「坂上、もっと奥まで咥えろよ。出来るだろう?」

「む、う、」

「坂上君、締まりが悪くなってるよ?ほらほら、ちゃんと力入れて」

「んーーーっ!!」


後ろからも前からも強く突き動かされて、僕は苦しさと嘔吐感に涙を流した。
微かに拾いあげた快楽も、瞬間的に苦痛へと刷り変わる。

言葉にならない声を喉の奥から零せば、熱くなる身体とは反対に、心はひやりと冷えていく。
低迷した意識を抱えて、先輩達が吐き出した熱を、僕はごくりと飲み込んだ。
















「はは、楽しかった!やっぱり坂上君は最高だよね」

「ああ。俺達が見込んだだけの事はあるな」

「……」


散々と抱かれて口もきけなくなった僕を、二人は左右から挟みこみ、抱き締めながらくすくす笑った。
いつものように白濁で汚れた身体を清められた後、愛玩動物に褒美を与えるようにかわいいかわいいと髪を梳かれる。

情愛が込められた優しい手付きに気分が良くなって僕は目を細めた。

日野先輩も風間さんも、僕の事を大事にしてくれている。
それが分かるこの時間が、好き。
例え、この後に始まる行為が、僕の心を絶望で蝕むとしても。


「……ふふ、でもさあ、日野。君、坂上君だけでお腹いっぱいな訳?」

「まさか。お前こそ、もう食えないとか言わないよな?」


風間さんは日野先輩の答えに満足したのか、にんまりと笑って日野先輩に口付けた。

粘着質な音を立てながら、互いに舌を絡ませ、零れ落ちた唾液が僕の頬を汚す。
二人の口付けは段々と深くなり、日野先輩の指が誘うように開いた風間さんのシャツの隙間から胸板を撫でる。

これからどうなるか、なんて、見なくても分かっていたので、僕は力無く目を伏せた。

追い出された楽園、僕はもう此所には居られない。
何時も通りにまぐわうけもの達の檻からこそりと抜け出して、振り向く事なく扉を閉じる。


背を向けたドアの向こうでは艶やかな喘ぎ声。
あの声は風間さん?それとも日野先輩?

楽園から逃げ出した僕の膿んだ意識が耳を塞ぐ。
少しでもあの二人から離れる為に冷たい廊下を直走りながらも、心は既にあの人達を欲してた。

いっそ棄て置いていけば、楽になれるのか。


(…………でも、僕には出来ない。棄てる事も、棄てられる事も)


この戯れの収束の時期を選ぶ権利すら、最初から僕には無いのだ。

窓越しに空を見上げれば、宵を孕んだ月が煌々と僕を照らす。心なんてなければ良いのに。
続けられる絶望と期待。硝子の欠片のように尖ったそれを、僕は泣きながら飲み込こんだ。



「はんなり」のアリカ様と図々しくもコラボさせて頂きました!もう本当アリカ様だいすき!
ありがとうございますっ^^

090125


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