シリーズ

□反則勝ち
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一つしか歳は違わないのに、学内で彼に会うことは少ない。
たまに、校庭で遊んでいる所を見るだけ。しかも一方的に。

不毛な恋はしない筈なのに、な。




「あれ…?」


「梨華?どーしたのぉ?」


「携帯がない、」


「えーなにそれぇ。探してきなよ。あたしは手伝わないけど。」




舞はいつもこうだ。
もう慣れたけど。

舞は先に帰っちゃったから、1人で携帯を探す。
携帯依存症なあたしは、携帯なかったら死んじゃう。移動した教室をぐるぐると回って探したけど、見当たらなかった。



「なんでないの…」


泣きそうになったが涙を堪えて、教室に戻る。



そこには、先程は居なかった…中条先輩がいた。しかもあたしの携帯をいじっている。



「梨華ちゃん。お帰りー」



ヒラヒラと能天気に手を降る。あたしが一生懸命探してた携帯を開き中を見ている。
口許は上がっていて、なんだかあたしを苛々させる。


「なんで…中条先輩が持ってるんですか?」


「あ、俺のこと洸でいいから。」




あたしの質問には答えない。パチンと携帯を閉じ、近付いてくる。


「はい、携帯。梨華ちゃん帰ってくんの遅いよ、もう帰ろ?」

「なんで、なんで先輩が?」



「んー、秘密かなあ?」





不適な笑みを浮かべる彼に目を奪われた。さっきの苛々も引っ込んでしまった敵わないなあ。ほんと。











帰りのことはよく覚えてない。なんかドキドキして、あたしらしくない。


「はぁぁあ、」

ベッドにダイブする。



「ありえない…」


舞に報告しよう、と思い立って携帯を握る。さっきまで中条先輩が触っていたあたしの携帯。なんだか気恥ずかしくなって直視できない。


♪〜


流行りの着うたが鳴り響く。浸ってたのにいきなり鳴るから心底ビビってしまった。なんだよコイツ、と思いながら携帯を開く。



そこには登録した筈のない名前が並ぶ。


「は?…」





よろしくね
とだけ書かれたメールの差出人は、中条洸。
何なのこの人!










(なんで昨日返信くれなかったの?)
(え…(徹夜で考えてました、なんて言えるか!))




*
ぐだぐだ

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