☆龍華アビスオリジナル設定小説☆
□邂逅
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ヴァンの野望を防ぐべく奔走するルーク達は、現在ケテルブルクにて束の間の休息を取っていた。
「早く師匠を止めないと……」
「焦っても仕方ありません。今は動くべき時の為に、しっかりと体を休める事を考えなさい」
ケテルブルクホテルのレストランで拳を握り憤りを隠せないルークに、ジェイドは冷静な言葉を投げる。
ルークはその言葉に素直に頷いた。
「じゃあ、私はナタリアと不足している物資を調達してくるわ」
ティアがそう言って立ち上がると、ナタリアも遅れて立ち上がり、2人はエレベーターへと向かっていく。
「じゃあアニスちゃんはアルビオール借りてちょっと出掛けてきてもいいですかぁ?」
「ええ、構いませんよ」
ジェイドの了承を得て、アニスが笑顔を浮かべた。
「じゃあ、行ってきまーす♪」
ニコニコと上機嫌に笑ってルーク達に手を振り、アニスもまたレストランを後にした。
「…旦那、これからの事で少し相談があるんだが……」
「はい、何でしょう?」
残されたガイは一緒にテーブルについているジェイドに真剣な表情を向けている。
ガイがジェイドを相談相手に選んだのならと、ルークは2人の邪魔にならぬようにと静かにその場から離れた。
ホテルの外は一面雪景色で、まだ日の高い今の時間はその白さが眩しく、ルークは思わず目を細める。
「……俺は何してようかな……」
ホテルから少し離れた所でルークは足を止めた。何の気なしに空を見上げれば、晴れているというのに雪が微かに舞い降りていた。
それが不思議で暫く眺めていたが、やがてその視線は足元の雪へと移る。
「……俺も…いつかはこの雪みたいに消えちまうんだな……」
掌を出せば雪が舞い降り、ルークの体温で溶ける。その様子がまるで自分の状況の様で、ルークは複雑な思いで掌を握り締めた。