☆龍華アビスonly短編小説☆

□君が頑張るから
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「うん、普通にうまいよルーク!」

「っ、本当にか!?」

「ああ!一体いつの間に腕を磨いたんだ?」

満面の笑みで次々と料理を口に運ぶガイの姿に、ルークはホッと安堵し、同時に気持ちが暖かくなるのを感じた。

それからは、ガイが食べている横にルークも座り、2人で他愛ない会話をした。こんな他愛ない会話も、ルークにとっては幸せだった。




その日の夜、ルークはなかなか寝付けずにいた。ガイに喜んで貰えたのが嬉しくて、目がすっかり冴えてしまったのだ。

(よし、もっと頑張ろう)

(ガイにもっと喜んでもらおう)

ルークはその夜、幸せな気持ちで眠りについた。






翌日、ルーク達はバチカルを後にした。
旅の途中、ルークは度々ガイに話しかけては、食事の手伝いやその後の後片付け、はたまた音機関の資料を買ってきたりと、兎に角ガイが喜びそうな事を色々やった。





「…ルーク、ちょっといいか?」

そんな事を繰り返していたある日、いつも誘われる側にいたガイがルークを食事に誘った。ルークが断る訳もなく、2人は最寄りの喫茶店へと入った。

席に着くなり、ガイはルークの顔をマジマジと、品定めでもするかの様に見つめた。突然見つめられ訳も分からず困惑するルークは、耐えきれずに口を開く。

「な、何ジロジロ見てるんだよ…何かついてるか?」

「ん?ああ、悪い、そうじゃないんだ」

ルークの言葉にはっとして、ガイは両手を左右に振りながら苦笑を浮かべた。そしてもう一度ルークの目を優しい表情で見つめる。

「いや、何か最近やけにルークが親切にしてくるからさ、俺もお返ししないとなぁってね」

「……それだけ?」

いつものように飄々としているガイとは逆に、ルークの表情は僅かに陰りを見せた。
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