創作
□君色
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いつもの昼休み。
一人屋上にきて、昼食を取る。
一口。
烏龍茶を飲んで、浅い溜息を吐いた。
―どうして、こんなにも空は、青いのか。
空の青さに掻き消されてしまいそうな、私、という存在。
空は広すぎる。
いっそ、この空に溶け込むことが、出来たらいい。
ゆっくり、瞼を閉じる。
閉じた瞼の裏に広がる、青。
私は、大きく息をすった。
そんな私の思想を、遮るかのごとく、静かな屋上に、嵐がやってきた。
「片岡ゆーきさん♪」
「わたしは、ゆーきじゃなくて、雪なんだけど。
成瀬海斗くん。」
「フルネームじゃなくていいって言ったのに〜。
海斗って読んでよ。
雪さん。」
「こちらは、下の名で読んでいいなんて、一言も言ってません。」
成瀬海斗。
私のクラスメイトであり、しょっちゅう私にかまってくる。
このところ、毎日のように昼食中に、私の元を、訪れる。