ふたつのスピカ
□空色スケッチ。
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四角に切り取られた窓。
そこから見える景色―変わりゆく空―だけが、私にとって、唯一感じることのできる外界だった。
幼い頃…
手を伸ばせば空に届く。
そんな気がしていた。
私は、外、に憧れていたんだ。
初めて、来た唯ケ浜。
私は知らないはずなのに、
私は知っている。
知っているのは―もう一人の私。
私の知らない、私。
―今も考える。
何故、自分はここにいるのか。
私は、いったい何なのか。そんなことを。
人は皆、母の胎内で育ち、この世に生を受ける。
これがこの世の道理ならば、私は存在自体が、道理外れ。
"私"は必要とされ、必要とされていない。
私は写し鏡のような存在。