08/14の日記

23:59
『それとも、現実が幸せだとでも、いうのですか?』
---------------
不幸せなときには幸せな夢を見るのだと聞いた。

幸せな夢を見ることによって心のバランスをとるのだ、と


『ーーー、』


白いシーツにくるまった奴の足先はシーツの色と比べて遜色がない程、白い。唯一、薄桃色をした爪だけば血の通った生き物であることを証明していた。


『ーーー、ー!』


顔も白い。髪は対照的な漆黒。豊かに生え揃った長い睫毛も黒い。
睫毛が揺れた。違う、瞼だ。青ざめてさえ見える瞼。瞼が苦し気に震え、泣きそうに眉間に皺が寄る。


『ーーー!』


寝てるときぐらい、幸せな顔をしてもいいだろうに。
すがる様に伸ばされた腕に触れることもなく、手を握ってやるのでもなく、俺は瞼に手を翳す。



「夢んなかでさえ、お前の逃場はないってさ」



なら、せめてお前がこれ以上見たくないものを映さずともいいように、俺がお前の眼を塞いでしまおうか




(なぁ、)
そうすれば、怖いのは、夢の中だけだろう

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ