06/01の日記

21:47
「3←1←67」
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また、だ。
毎度毎度、少し冷たくされたぐらいで俺にしがみついて泣き言を言う癖は一体いつになれば治るのだろうか。

「また、ハジメに振られたったー・・・!」

「あのねぇ・・・こう頻繁に泣きついて来られると若干困るの。俺だって暇な訳じゃないんだから」


突き放す様な言葉にも負けず、ロクはその焦げ茶色の巻き毛をぐりぐりと人の腹に押し付けてくる。


「そんな冷たいこと言わんとってえなー・・・。慰めてや」




(あー、やだやだ。可愛くない)

此だから、自分が相手から好意を向けられていることを知っている奴は嫌なのだ。
甘えることに、臆面がない。

此方が恋愛面でも少なからず好意を抱いてることを知って、尚、この態度なのだから随分といい性格だ。




「なん?妬いとん?」


呆れて口も開けずにいたら、勝手に都合の良い解釈するし。


「大丈夫やって。お前のことも愛しとるから。ハジメとみーちゃんの次ぐらいに」


最低、だと思うものの口にすれば相手を喜ばしてしまうだけで、非常に損な予感がして口をつぐむ。

その代わり、大袈裟にならない程度の負け惜しみを1つ。


「別に、俺だって他に可愛い子沢山いるからね。構わないさ」

「ほな、良かったわー。独占欲強いなんて本命でもない限り鬱陶しいだけやもんな」


やけど、と笑いながら言葉を区切る。

(あ、ヤバイ)

と、思ったときには既に遅く、日に焼けた手が俺の胸ぐらを掴んでいた。

そのまま、ロクの方へ引寄せられる。
お互いの呼吸が顔に当たる程、近い。
翡翠色の目が眇られる。


「ナナの1番は俺やで?破ったら、殺してやるわ」



時折、見せられる狂気的な程の執着心。
温厚な男なのではなく、本来はどうしようもなく横暴で苛烈な太陽の様な存在なのだと突き付けられる。


「返事は?」

視線が痛い。
喉元に噛みつかれそうな緊迫感。



「・・・俺の、1番はロクに決まってるだろ」

過度の緊張にひりつく喉を誤魔化しながら、返すと、納得したのか笑いながら、再度腹に顔を押し付けてきた。



「でな、ハジメなんやけど・・・」


そして、何事もなかったかの様に最愛の子の名前を口にする。


(本当に、タチが悪い・・・!)

こんな男に愛された一番目が可哀想だ。













(7番目の答え、)
それでも、その手が欲しくて仕方ない自分が1番哀れで醜いことを知っている。

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