05/08の日記

22:15
「斜交に没す」
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※暴力表現あり









全知全能だなんて誰が決めたのでしょうね。


「っ、ぐ、・・・ふっ」

「汚ない」

(あぁ、助けて神様、助けて。どうかどうかどうかこの僕を。子たる憐れな子羊を。その腕で救い上げて、母胎の中で溺れて死なないように優しく語りかけて下さい。)

僕の下でもがく神様は眼に薄い膜を張って、口からはだらしなく涎を溢して必死に僕の腕から逃げ出そうとしていた。
まるで猫に弄ばれる蝶みたいで、羽をもがれた蝶みたいで酷く惨めだ。


「神様?ねぇ、聞こえてる?」

「・・・っ」

「?」


反応が鈍い。
脳に酸素が行ってないのだろうか。
静かになってしまったら寂しいので、気管支を圧迫していた左手を緩める。

「げほ・・・ぇ、・・・うぇ」

神様は大きく震えながら咳き込んだ。
僕の腕に爪を立てながら、息をする。

(ひゅー、ひゅー言ってる)



「あぁ、そうか」

「神様、本当は自分自身も助けられないんだね」

全知全能だなんて言われて崇められているくせに。

「可哀想」


(神様、神様、神様・・・)

言葉が出てこない。今までなら許容量を越えた水が溢れるように哀願の言葉が連なっていた、その筈だったのに。


でも、もう水は渇いた。依存は解かれた。自分すら助けられない様な神に僕は助けられない。
可哀想に、可哀想に、ねぇ神様。















『羊水に溺れる前に枯渇、』
嗚呼、何て可哀想な僕!

















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解説(読みたくない人は、バックプリィズ!)



可哀想なのは最初っから最後まで神様じゃなくて、助けて貰えない自分です。
視野が狭過ぎて人と自分を比べることもしないので、上から目線になることはない究極の自己中。


おかしいな、「何でもかんでも神様に頼るのはよくないよぉ」、「やめたげてよぉ!」ってのがコンセプトだったのに・・・。
ぷぎゃー。

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