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□The chicken is ahead or the egg is ahead?
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議題「鶏が先か卵が先か」
相対的な答えとしては、観察者がどの形態から観察を始めたかによる。

しかし、これでは問題を先延ばしにしただけで何の解決にもなっていない。
そもそも鶏は最初から鶏だったのか?
人間の祖先は太古の昔まで遡ると鼠によく似た小さな哺乳類である。
鶏もそのような進化形態を辿って来たのだとすれば、その祖先が鳥類か鳥類でないかで決まるのではないだろうか。
鶏の祖先が鳥類でない可能性も無くはないのだ。
現に魚類の祖先を持つ爬虫類だか哺乳類だかも存在するという。
それを仮定すると鶏が進化の上創造された生き物であるか、それとも何種類かの鳥類を配合させた上で生まれた生き物であるかが重要になってくる。
前者の場合は鶏が、後者の場合は卵が先であるからだ。
ただ、如何せんもうすでに生物として確定されているものをどちらがαかΩであるのを争うというのは無意味なことではないだろうか。
それを知ったところで何の意味も生まれてはこないのだから。


















「ねぇ、そうは思わないかい、瀬良?」



そろそろ室温が35°を突破してしまうのではないかと危ぶまれる部屋の中。
うろんな目付きでテーブルを挟んで目の前に座る美しい少年を見た。
少年には茹だるような暑さにも関わらず汗を掻く素振りが見受けられない。
朝から「冷房病にかかる」という理由でクーラーを消したままの架楠は漸く長い口上を述べ終えたばかりである。



(昨日は室温が20°を切ってしまうぐらいガンガンにかけていた奴が今更冷房病なんてよく言えたものだ・・・)



ようは傍迷惑な気紛れであるのだ。
解っていながらその度に付き合ってしまう俺も俺だが。



「で、結局今までの講義の答えは?」



「愚問、だということだよ」




「・・・あぁそう・・・・・・!」



散々、人を付き合わせておいて・・・。



(でも、好き、なんだよなぁ・・・)



声、が



架楠の、甘く透き通った男とも女ともつかない声。



そんな不思議なトーンで紡がれる声はスッと頭の中に浸透していく気がして。
とても心地良い。




だけど今は夏休みの宿題である人権作文を書いている最中の筈だ。



(終わらない・・・・・・)



真っ白いままの作文用紙を前にシャーペンを投げ捨てた。











夏休みの恒例行事 。
(あれ、瀬良まだ書けてないの?)
(?、・・・ってお前いつ書いたんだ?!それ・・・!)
(話しながらだけど?)
(・・・・・・・・・)
 

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