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□二ガいサとうとなナしのイろ
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「ねえ、僕の所においでよ」


僕の目の前にポカンと唖然顔している、つい最近知ったばかりの子。
名前はサトシ。

僕は数日前に会ったサトシが好きで好きでしょうがない。



世間でいう、一目惚れ。



僕自身そんな曖昧で興味本位な感情を信じてはいなかったが、まさか自分がそんな罠にハマるなんて思ってもいなくて。

ハマる訳がないと高をくくっていたら見事引っ掛かりました状態。

しかし、可愛くきょとんとしているサトシを見ればそんな事どうでも良くなるくらい、僕はサトシに深く依存していて。


「……あの……言ってる事がイマイチよくわからない……かな、なんて………」

「…じゃあ……“僕のモノになって”……これならわかる?」

「いや、ルビー…あのさ……」


フフフ……混乱してるサトシも可愛いなぁ……
…益々僕のモノにしたくなる。







「俺……シゲルがいるし……さ?」






サトシの口から出た僕以外の男名前。


………うざったい。


……憎い、悔しい、苛つく、恨めしい、殴りたい、潰したい、呪いたい、斬り刻みたい、引き千切りたい、血祭りにしたい、四肢を切り落としたい、腸をぶち撒けたい、心臓を引き摺り出したい、頭を割りたい、落としたい、殺したい、消し去りたい、








この世と、サトシの記憶から。







醜い汚い歪んだ感情がドロドロと滝のように溢れだして止まらない。
お陰で腹の中は真っ黒。


白いイロを落としても、黒いイロに吸収されてまた真っ黒に戻される。

逃げれない。





「知ってるよ、そんなこと……ソレがどうかした?」






言葉通り、サトシには恋人がいることくらい知っている。

だけど、そんなこと位じゃ諦める訳がないじゃないか。
地の果てへだって奪いに行くよ、僕のサトシを。





「………でも……俺はシゲルが………」




嗚呼、それでも君は拒むんだね……僕を。

………僕の存在を。



「そう、……だったら…」



だったら先手必勝で行くよ?
君の綺麗な心はいらない。
鈍く光る瞳の明かりが僕には丁度いい。

手に入らないならば、殺してしまえ。何て言うけどサトシを殺して笑顔が見れなくなるのは惜しい、動かなくなるのは嫌だ、だったらサトシの心を殺して僕しか見えないようにしてあげようか。





………うん、そうしよう。






「ルビー……何…するん、だ…?」





僕の自慢の賢いポケモンをボールから出せば飛び出してくるキルリア、名前は……











「………RURU」













命令したのは君を捕える最高の呪文、最低な合言葉。














「催眠術」













僕の腕に倒れた後、顔を上げた君の瞳は鈍く煌めいていて。

その吸い込まれるような漆黒の瞳に酷く惹かれた。



漸く僕のモノになったんだと思うと笑いが止まらない。
シゲルへ様を見ろという嘲笑と僕のモノになったサトシへの歓喜に震える笑いが重なり、より一層笑い声が轟く。








君の腕を引っ張って、何処まで連れていこうか。















「さぁ、」













おいで、サトシ。









もう二度と、























二ガ サ    ナ  イ 
















『ニガいサとうとなナしのイろ』


(君は永遠に僕のモノ)


















END





真っ暗。


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