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□抱きつき日和
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「ピカチュウ〜大好きだぜ〜vV」
「チャ〜vV」
サトシとピカチュウとのスキンシップは何時もの事だが、今日は特に激しい。
何も僕の目の前でイチャつくことないじゃないかな?
わざととしかいいようがないよね?
「ピッカチュウvV」
「ピカピっvV」
………まだやるか。
僕に嫉妬させたいのか、それとも違う目的があるのか………。
いや、違う。
サトシはそんなに厭らしい性格はしていない。
じゃあやっぱりただそういう気分なだけ?
と、勝手に頭で決定付けて安心しようとしてる自分はかなり臆病者ではないだろうか。
「サトシ……」
「ん?どーしたんだシゲル」
僕が名前を小さい声で呟くと素っ気ない返事が間髪入れず返ってくる。
「……どーして今日はピカチュウに抱きつく事が多いんだい?」
「ん〜……ホラ、なんか急にピカチュウに抱きつきたくなって……」
ホラとか言われたって…よくわからないよ。
今はただただ君の肩で幸せそうに頬を擦り寄せている黄色い塊が恨めしい。
もはや嫉妬してるんじゃないか、何てどうでもいい。
まぁ、サトシあってのピカチュウ、ピカチュウあってのサトシだから離れろとかサトシに近寄るななんて事は言わないが、僕はサトシの恋人なんだからもう少しサトシの横ポジションを譲ってはくれないだろうか。
「…ゲル………シゲルっ!」
「…え?何?」
「さっきから何度も読んでたのに返事しないから心配したぞ!」
頬を膨らませて怒っているサトシは凄く可愛い……が、未だ頬擦りしている肩の黄色が気になってしょうがない。
暫くの間肩の黄色い塊を若干睨み付けるように視線を送っていると、それに気付いたのか耳をピンッと立たせたと思いきや肩から下りて、ピカ!と一声鳴くと奥の部屋へ走っていった。
………もしかしなくとも……気を使ってくれたのだろうか。
あの一声の鳴き声は、後は二人でどうぞ。なんて言っていたりして……
考え過ぎかもしれないが、サトシのピカチュウは頭がいい。
意外とあたっているかもしれないな。
(ありがとう、ピカチュウ)
「シーゲルっ!!」
「う、わっ!?」
いきなり抱きついてきたサトシを落とすまいと、咄嗟に受けとめたが勢いがあり過ぎて後ろのソファーに背中からダイブした。
ソファーがあったから何処かをぶつけた訳ではないが、ビックリしたと文句を言ってやろうと上半身を起こす。
僕のお腹あたりに顔を疼くめているサトシを見れば、耳まで真っ赤にしているのがわかった。
自分で抱きついて来といてその反応は可愛過ぎるだろう?
襲ってくれと言っているのか?
ならば襲ってあげようか?
「シゲル……俺はシゲルが好きだよ?」
「………へ?」
これまたいきなりな告白につい間抜けな声がでてしまう。
じっと見つめてくるサトシの目から目が話せず、互いに見つめ合ったまま固まっていた。
「俺……ピカチュウは初めての友達だから…特別大事で……一言で言うと、大好きなんだ」
僕の目を完全に捕えたまま話続けるサトシに気圧されながらもそんなのはちゃんとわかってる。と告げようと口を開こうとした刹那、唇に柔らかい感触がして。
その瞬間、時間がとまった気がして僕は再度固まる。
時間的には短い間だったのだろうが、それはサトシからのキスだと確信するには十分な時間で。
「え……サト……シ……?」
今まで僕の目を見つめ捕えていた瞳は瞼で消えたが代わりに満面の笑顔が現れて、そのお陰で顔が一気に熱くなるのを感じた。
「サ、サトシ……///?」
「でもピカチュウは大好き、シゲルは大好き以上に、愛してるっ」
……何て事だ。
サトシには最初からバレていたんだ。
僕がピカチュウに嫉妬してることに。
………そこまで鈍感(バカ)じゃなくなったんだね、サトシも。
クスリと笑えばサトシも笑って。
何ともいえない幸せな空間が、ソコにはあった。
(サトーシ君には適わないね)
(へ?)
(サトシもプロポーズしてくれた事だし、僕も誓うよ)
(だから何を?)
君を、幸せにしてみせる。
END
あれ?サトシ性格違う?