拍手御礼文


「お帰りなさいっ、ヤマト」

「…ただいま」


満面の笑みで迎えられ、顔が強張るのがわかった。

何となく嫌な予感がする。


腕を組まれ、急かされるように歩く足は重い。



「みて、みて、すごいでしょ?」

「………」



一面に広げられた服。
どれも奇抜なものだった。


「……ハロウィンでもするのかい?」

「あたりー!」


すごいね、さすがヤマト、とニコニコと笑う彼女。
その笑顔に少し憂鬱になった。


「着ないからね」

「えっ…」

「参加するつもりはないよ」


途端に笑顔が消えてしまった顔。


「せっかく一緒にやろうと思ったのに…」

「ハロウィンなら明日だろう?ボクは任務があるからね」

「う…」


昔から彼女がこういうことが好きだとは知っていた。だから記念日やらなんやらは時々付き合ってきた。


はぁ、とため息をつくとピクリと揺れる華奢な体。
瞳にはうっすらと涙がたまっている。


「……遅くなってもしらないよ」


ぽつりと呟いたボクの言葉に目を丸くし勢いよく頷く。


「うん、うん!待ってる!」


ぎゅうぎゅうと抱き着く彼女の頭をぽんぽんと叩いた。

惚れた弱みなのか、なんだかんだ言ってボクは彼女に甘い。


「…そうだ、一つお願いがあるんだけどいいかい?」

「なに?」









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