Everything in its right place
□6 Resistance@MUSE
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到着して1日が経ち、練習も朝から夕暮れまでハードなメニューが組まれている。この夏は1000q走破が目標だから、ね。
標高が高いからちょっとしたのぼりでもえらく足が重い。高地トレーニングってこんな感じなのかなあ。
「あれ、刹那、国東は?」
「・・・さっきトイレに行くって言ってましたけど」
尋ねてきたのは4年生でサブリーダー的存在の近藤麻由美さん。響子さんのよき理解者らしい。雑務も得意なようで松っつんの手伝いとかもしてたっけ。
それよりも心配なのは響子さんだ。トイレに行くといって分かれたのはもう20分前くらい。・・・少し探してくるかな。
「近藤さん、私ちょっとこの辺り探してきます」
「国東の事だからその辺でぶらぶらしてると思うけど・・・」
「一応、行ってきますね」
軽く駆け出してとりあえずトイレまでの道を辿る。チップが埋め込まれて幾何学模様を描く遊歩道に人影は無く、燦々と照る太陽がそれが間違いでは無いと主張しているみたいだった。
まだトイレにいるとか?近くの休憩所のベンチとか、少し逸れた道でぶらぶらしてるのかも。
「響子さーん!いないんですかー?」
声をかけても返ってくる音は小鳥のさえずりと風が木々を揺らす音だけで。どうしようもない不安に駆られて全速力で近藤さんたちのいるところに戻る。
もしかしたら、もう合流してるのかもしれない。うっかり入れ違ったりとか、そういうことなのかも・・・。
「どうしたの刹那!そんなに息切らすほど全力疾走して・・・」
「響子さん、って・・・戻ってません、か?」
「?まだ。・・・見つからない?」
「はい。近くの道とか、休憩所とか、心当たりのある場所、は探したんですけど・・・」
「・・・仕方ない。男子に救援要請するか。刹那、疲れてるところ悪いんだけどふもとまでおりて男子に事情説明してくれる?」
「わかりま、した!」
浅く息を吐いて走り出す。・・・響子さん、無事でいてください。ちゃんと、私たちが見つけますから。
「朝倉さん!!」
「うおわ!?ど、どうしたんだ刹那!」
「響子さんがッ・・・見あたらないんです」
「・・・え!?ど、どういうことだ!」
肩を掴んで叫ぶ朝倉さん。・・・息整えたら説明するんでちょっと待って欲しいです。右手を前に出してちょっと待ってのジェスチャー。
思い出したように悪いと朝倉さんが謝り、智己ちゃんが背中をぽんぽんと叩いてくれた。
「30分くらい前、からなんですけど・・・トイレ行くって別れてから、姿が見えないんです」
「すれ違っただけじゃ・・・」
「もちろん、探しました。・・・でも、見つからなくて」
「・・・響子」
朝倉さんのかすれた声が聞こえる。
「とりあえず、3人ずつくらいで探しましょう。日が落ちる前に、見つけないと」
「松っつんと監督はここで待機して、何かあったら連絡な。ケガとかしてたら病院まで運ばないと」
松っつんの言葉に智己ちゃんが続け、朝倉さんがゆるゆると顔を上げる。
「近藤さんたちにも連絡します。松っつんケータイ貸して」
「松平、古賀、刹那・・・」
「1人で何とかしようとか思わないでくださいよ、朝倉さん」
「私らにとっても響子さんは大切な存在なんですから」
小さく笑って言うと、朝倉さんが頷いていっせいに回りも動き出す。
「智己ちゃん、朝倉さん私らで組みましょう」
「・・・ああ!」
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