晴嵐-seiran-

□白蛇@ 島に帰る
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「夏の間、故郷に帰らなきゃいけないんだ」

あの拝島に、ね。という言葉を心でつぶやき、驚くアオタケの面々を見る。



晴嵐“白いへび眠る島”side

@ 島に帰る
荒太からの手紙-仮面の舞-帰省



大学の夏期休暇に入る直前、故郷の拝島から一通の手紙が届いた。


前略 琴葉へ


やあ、元気かい?今僕は拝島に帰っているんだが、今年は大祭の年だ。
それは君も覚えていると思うけど、実はその大祭で君が仮面の舞をすることになってね。

おっと、文句は受け付けないよ。これは順番なんだから、ね?
本当は日和ちゃんか佐和ちゃんなんだけど、あの二人は女踊りで活躍するんだって。
今は先生のところで稽古に励んでいるよ。

一緒に服と道具と仮面を送るから、東京でも練習できたらしてほしい。
踊り方は、覚えているよね?もし覚えていないなら早く帰ってくること。


PS

拝島でも携帯が使えるようになったんだよ

君の従弟 荒太より


私の故郷は、拝島。父親は神宮の人間だったが、島に疑問を持ち、すぐに出て行ったらしい。
しばらくして母を連れて島に帰り、そこで私が産まれた。

仕事柄一箇所にとどまっていられない父は私が小学生の頃から世界を飛び回っていた。
母は、私が中学に入るまでは拝島にいたが中学に入ってからは東京に私とともに移り住んだ。

この手紙を送ってきた荒太とは、一応従姉弟の関係にあたる。荒太の兄の信一は、私の兄のような存在だった。
他にも一緒に遊んでいたのは3つ下で持念兄弟の光市と悟史、私とそう変わらない陽介たちだ。
嗚呼懐かしい、と思い出に浸りつつ、送られてきた舞の衣装、扇、仮面を手にとって見る。


私が、仮面の舞を舞う


もちろん小さい頃神宮で教え込まれたから忘れてはいない。緩慢だがキレのある動作でずいぶん苦労した記憶がある。
明日にでも、大学にある武道場を借りて一度舞ってみるかな、と思いつつ眠りに付いた。
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