Everything in its right place

□14 Meds@PLACEBO
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「琴葉が行けば国東さんは安心だし、オレらは山科さんの所行こう」

「・・・」

「松っつん?」

「あ、ああ・・・」

「どうしたんだよ、疲れた?」

「少し、不安で」

琴葉なら大丈夫と古賀は言うけど、オレにはなんだか嫌な予感がするんだ。いつも無茶してばかりいる琴葉だから、余計。
・・・ただの勘違いだといいんだが。とりあえず今は山科さんから情報を集める事に集中しないと。


Session 14 Meds@PLACEBO


「山科さん、ちょっといいですか?」

「・・・東体大の」

「松平です。・・・少し、話が聞きたいんですけど」

こくりと頷いた山科さん。まだ、分からない事はたくさんあるし、まずはそこから少しずつやらないといけないよな。

「話って何だ?・・・できれば早く練習に戻りたいんだが」

「すみません。・・・でも、すぐ済みますから。聞きたいのは、瀬川さんの事なんです」

「特に話すことは無いな。・・・朝倉達の話は知っているが、オレにはどうすることもできないぞ」

「何故ですか?幼馴染だと聞きましたが」

「・・・それでも、オレには口出しできない」

少し動揺したらしく、答えるまでに間が空いた。・・・ここはオレのポリシーに反するが、少し強引に話を進めないといけなさそうだな。

「もしかして・・・弱み、とか握られてたりするんですか?」

この言葉を使うのは、正直賭けだ。ここで山科さんが怒ってしまえば失敗するし、逆に手助けしてくれるかもしれない。・・・こういう綱渡りな方法って苦手なんだが。
まあ、今は手段を選んでる場合じゃない、か。・・・山科さんはどう出る?

「・・・弱み、か。確かに弱みになるのかもな」

「じゃあ・・・」

「それは本当、という事になるな。・・・何かまでは話せない」

「別に無理に話していただかなくても結構です。・・・オレが言いたいのは、朝倉さんたちの壊れてしまった関係を修復する手伝いをしていただきたい、という事だけです」

迷うみたいに視線を足元に落とす山科さんだけど、弱みがっていうのさえなければ協力してくれそうだ。・・・オレにそこまではちょっと出来なさそうだけど。

「・・・すまないが、少し考えさせてくれないか」

「そう言っていただけるだけでも幸いです。・・・失礼します」

手ごたえは上々、って所だな。このタイミングで頭ごなしに否定されなかっただけでも十分。・・・古賀はそれじゃ納得しなさそうだけどな。
でも、いくら朝倉さんと国東さんの事があるとはいえ、オレらにそこまで踏み込み権利は無い。・・・後は、山科さん次第。

「松っつん、どうだった?」

「考えてみるって。・・・弱みがっていうのは本当みたいだな」

「・・・あーもうまどろっこしいなあ!弱みとか掴ませるなっての」

「それはまあ仕方ないし、どうにか山科さんが協力してくれる事を・・・ん、琴葉から電話か」

「あっちはどうだったんだろうな」

「もしもし。・・・え?あ、はい。どこですか?・・・分かりました」

「琴葉じゃねえの?」

「何か、琴葉がケガしたらしい!」

「は!?何やったのアイツ!」

「分からない。でもとにかく救急箱持ってすぐ行かなきゃ!」

「オレもついてく!」

ばたばたと廊下を走るのも、今だけは仕方が無い。・・・ケガって、何したんだよ!国東さんの様子見に行っただけじゃないのかよ。
頭の中を色々なことがぐるぐると回って、なんだかわけが分からなくなってきた。・・・今は、琴葉が最優先!
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