Everything in its right place
□12 Post Blue@PLACEBO
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朝目が覚めると、覚えのある痛みが下腹部に走る。・・・よりによって合宿の最中にかよ。小さくため息を付いてそろりとベッドから抜け出す。
私は痛みもそんなに無いし、多分走るのに支障は無い、はず。一応朝食後に薬を飲んでおこうかな。
同室の響子さんは起きていないようだし、音は立てないようにしなきゃ。
Session 12 Post Blue@PLACEBO
「・・・おはよ、刹那」
トイレから出ると、寝ぼけ眼をこする響子さんがベッドの上で上半身だけ起こしていた。・・・起こしちゃったかな。
「すいません、朝早くから」
「いいのよ。私も早起きしなきゃだしねー」
ぐっと伸びをする響子の横を通って、暗い青色の遮光カーテンを開ける。名前の知らない鳥の声と、秋の澄み渡った青空。木々は冬に入るために葉を落とし終えているのが大半だ。
走るのには、とてもいい気候だと思う。・・・外は少し肌寒いかな。
***
「おーい琴葉」
「・・・無理」
「いや、オレまだ何も言って無いんだけど」
・・・甘かった。合宿中だからって痛みは存在を主張するのを控えてはくれず、逆に五月蠅いくらいにずきずきと鈍痛を訴える。午前中の練習全部出た私を誰か褒めてよ。
やっぱり、なれない環境でのストレスとか関係してるのかなあ。智己ちゃんにここまで心配されるとは。
「ほら、昼飯食べに行くぞ」
「・・・食欲無い」
「あーもう何か今日めんどくせえなお前・・・ん?ああ、もしかしてそう言うこと?」
「そう言う事なんで静かに放置してほしい」
「おーい松っつーん」
何かを悟ったらしい智己ちゃんが言う。・・・本当にほっといてくれないかなー。何で松っつん呼んじゃうんだよ。生理中とか人に言いたくな・・・芦谷まで付いてきやがった。
「琴葉、体調不良か?」
「腹痛」
「・・・午後は休んでおいていいから、昼飯はゆっくりでもちゃんと食べろよ」
「はぁいお母さん」
「ふざけるだけの余裕あるのかお前は」
ぺしんと軽く頭をはたかれる。・・・酷いな松っつん。重苦しい雰囲気が嫌だったから気をきかせてあげたのに。
ま、でも松っつんのカンの良さに感謝、かな。芦谷は多分分かってないと思う。・・・むしろ分かっても騒いで邪魔なだけだからいいか。この空気読めない奴め。
「薬飲んで安静にしてる事。・・・昼食は絶対な。食べないのはやめろよ」
「ちゃんと食べるって。・・・もう何か女なのが嫌になる。男だったら気楽なのになあ」
「いや、それはオレが困るから」
「そうだぞ琴葉。古賀がエースになれない上に恋人までいないなんて可哀想だろ」
「・・・松っつんって案外オレの事嫌い?」
あ、私男だったら智己ちゃんより速いのは松っつんの中じゃ確実なんだ?・・・でもまあ男だったら智己ちゃんとも付き合ってないのか。そういえばそうだよなあ。
女なんて生理あるし時々すごくひ弱だしで嫌だけど、そう言う意味じゃ女でよかった、のかもしれない。
「・・・て事は古賀しばらく禁欲生活?」
「智己ちゃん、松っつん、後で芦谷殴っといて」
「「了解」」
「!?」
ふと思い出したように言う芦谷の言葉はやっぱり空気読めない発言で。殴られても文句は言えないと思う。・・・私もう今日疲れた。
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