Everything in its right place

□2 Airbag@Radiohead
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「寛政大です」

「寛政大さんですねー。長距離出場人数が10名でいいですか?」

「ああ。・・・なあ、まだ気づかない?」

「・・・気づいてる」

見慣れた姿。髪の毛が少し長くなってるけど、やっぱり清瀬灰二であることに変わりは無くて。


Session 2  Airbag@Radiohead


「・・・また走ってたんだ」

「少し、行きたいところがあってね。・・・後で時間いいか?」

「競技が終わったらでいい?」

「もちろん」

受付係なんてやるんじゃなかったなあ。・・・浩介早く帰って来いよ。お前の分の仕事やってるんだよ、これ。
・・・今日のレースはちょっと頑張っちゃおうかな。松っつんと智己ちゃんには本気出すなって言われてるけど。

「琴葉」

「松っつん。・・・榊つれてきたんだね」

「先輩すいません!足ケガしてるのにオレの変わりに仕事させちゃって」

こいつも可愛い奴だよなあ。表情がころころ変わって見てて飽きないよ。
・・・もう私が出るレースが始まっちゃうかな。うーん、智己ちゃんと松っつんには悪いけど、このメンバーん中で一着くらいは取ってもいいよね?


***


「お前さ、ほんっと人の話聞いてないよな」

「聞いてるし覚えてる。・・・それを守るかどうかは別として」

「あのなぁ・・・守ってもらわなきゃ困るんだって」

「何故?別に足が悪化するほど酷い走りしたわけじゃない」

「俺らが心配するっつーの。・・・とにかく、無茶はしない。今日だって本当は流すだけの約束だろ」

私が黙っていると、智己ちゃんはひとつため息をついてケガしてる足を掴む。

「いっ・・・!」

「まだ痛いんならあんな走りすんなよバーカ」

結構本気でやったよね・・・!そりゃレース中もちょっと痛かったよ。・・・嘘。すんごい痛くなった瞬間が何度もあった。
でも、まだ走れるって思ったし、走りたかったから走ったんだってば。智己ちゃんなら分かってくれると思うけどね。

「おいおい腫れてるじゃねーか。ホント我慢すんの得意だなお前は。・・・松っつん呼んで来る」

「・・・浩介と同レベルに扱われるのは嫌だなあ」

「安心しろ、お前は無茶するが頭はバカじゃない」

「それ、フォロー?」

「半分はな」

それ、めげる。松っつん来たら絶対怒られるし、さっきの智己ちゃんみたいなことをしかねない。・・・アイシングしておこう。
故障は何回もやったから、そのつらさとか良く分かってるつもり。智己ちゃんは今も故障中だし、松っつんは戦力外通知を受けてマネージャーになった。
・・・たぶん、二人とも私を心配して言ってくれるんだろうな。言われたことすぐ破る私はさしずめ悪い子ってとこか。

「あら、松っつん」

「・・・アイシングしばらく続けてろよ」

「おい、お前からも何かいってやれって」

「無茶はコイツの専売特許だし、もう何も言わないでおく。・・・榊と違ってバカじゃないだろ、琴葉は」

「浩介と比べないでよ」

「ちょ、聞こえてるんスけどー!?」

「「「気にすんな」」」

あ、浩介落ち込んでる。そりゃまあ3年生がよってたかって1年いじめるのも大人気ないか。しかし私は彼と違ってバカではない(まだ言いつづける)

「・・・松っつんと智己ちゃんが心配して言ってるのは分かってるよ」

「それで無理するからタチが悪いんだ」

「松っつんの言う通りだな。そういわれると下手にしかれないし、ほんっとお前の頭は便利に出来てるよな」

「ありがとー」

「褒めてねえし」

とか言って智己ちゃんも楽しそうだよね。こんな風に笑いあえる雰囲気ってすきだなあ。ドライな関係なんだけど、仲はいい、みたいな。
さあて、浩介がそろそろ本気で落ち込んでるから慰めてやらなくっちゃ。
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