Everything in its right place
□1 Yes@Cold Play
1ページ/2ページ
「逃げろ刹那!!」
何でそんなに慌ててるの、智己ちゃん。今は普通にトラック回ってるだけだし、レースでもなんでもないじゃん。
そんなことを考えていたら、いつの間にか黒い物体が飛んできていた。・・・ホーガン!?
Session 1 Yes@Cold Play
「ッ痛!」
左足のふくらはぎに砲丸が直撃した。ちょっと、なんでこんなトコで投げてんだよ。後で一発殴ってやらなきゃ。
空が、スローモーションの映像見てるみたいにゆっくり視界の大部分を占める。足に両手を添えたせいで背中から地面に倒れる。
どくんと心臓が大きく音を立てるのが聞こえて、喉が小さくかすれるみたいな呼吸音。・・・息が出来ない!
何人かの足音が遠くに聞こえて、大丈夫かと誰かが問う。・・・松っつんかなあ。
「背中からいって息できなくなったのか!?おい、アイシングと担架の用意」
担架!そんなの私いらないんだけど。ずきんと痛みを訴える左足は、やっぱり痛い。
「おい、息しろ!」
したいよ!でもできないんだってば。非難が声にならずに口だけが動いてるのが分かる。とたんに、ばしんと背中を叩かれる。
これってマンガとかで目が飛び出る感じ?ちょっとだけ分かったような気がする。
「げほっ」
「おい、意識あるか?」
「ある。・・・ただし今すごく現実逃避したいけど」
「してる場合か!!足は?」
「智己ちゃん酷い〜」
「おい琴葉」
「痛いけど歩けると思うよ」
「却下。・・・榊手伝ってくれ。古賀はコーチか監督呼んで来い」
「あいよー」
「琴葉先輩!!!」
浩介五月蠅いなあ。うろたえてるのは分かるけど、何で私のが冷静なんだろう。松っつんまで結構あせってるよねえ。
「どこつれてくの」
「とりあえずコースの外!ほら氷持って」
「先輩なんでそんな落ち着いていられるんだべ!?」
「自分のことだから」
良いから手伝え、と松っつんに言われて浩介がおとなしくなる。・・・教育係すげえな。
とりあえず氷で真っ赤というかどす黒くなった足を冷やす。ふと視線を横にずらすと、見慣れた大きい目がこちらをじっと見つめている。
「・・・何やってんの、お前」
「私のせいじゃない」
「だろうね。・・・アイツも大学やめちゃうんじゃない?」
「そりゃそうだべ!!琴葉先輩はうちのエースっちゃ!」
「うーんそれはそれで何か罪悪感」
「向こうのが後悔は大きいだろ」
「マルさんは何しに来たんですか!これからコイツ病院に連れてかなきゃならないんでいいですか!?」
松っつん焦りすぎ。・・・あ、智己ちゃんが監督連れてきた。私が怒られませんように。
→
次へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ