エターナルストーリー

□異常
3ページ/7ページ


「ゾンビくらいになら負けないよ。君に迷惑かけてないでしょ」
「………」
 剣士は答えず、代わりにあてつけがましく大きなため息をついた。そして辺りを見回し、ジールに顔を近づけて小声で話しかける。
「人が集まってくるとまずい。ジール、ちょっと来なよ」
「え?どうして?」
「誰もいない場所で話す」
 そう言って、剣士はオールドラプトへ入っていった。ジールも首を傾げつつ、それに続く。
 ラプトに張られた結界を一歩抜けると、そこは呪いと死の世界だった。アンデットモンスターが犇めき合い、暗い空間に死臭が漂う。
「ねえ、何なの?」
 オールドラプトの入り口で立ち止まった剣士に追いついたところで、ジールが尋ねた。しかし剣士がそれに答える前に、他の人物が声をかけてきた。
「あれ?ジールじゃん。何してるの?」
 クルトが笑顔で寄ってきた。そして仮面の剣士を見て、一瞬だけ目が鋭くなる。
「あ、クルト!今ね、色々あってこの人から話を聞くの」
「…ふーん。あ、はじめまして!クルトです♪」
 クルトが満面の笑みで挨拶すると、剣士は不快そうに仮面の下から見える口を歪めた。
「茶番はいい。今からこいつに僕たちのことを話す」
「は?何言ってんの、グリム。ジールは完璧に部外者でしょ?」
「見られた」
「…マジ?」
 仮面の剣士、グリムの言葉にクルトも眉をひそめた。ジールは訳が分からない様子で、ジールとクルトを交互に見ている。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ