エターナルストーリー
□異常
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やがてゾンビが逃げ遅れた一般人を見つけ、そちらに向かって行った。ジールがそれに気がついた時には、すでにゾンビは腕を振り上げていた。
「あぶなっ…!」
ジールの声と同時に、ゾンビは腕を振り下ろした。しかしその腕は一般人に命中することなく、宙を舞う。
「何でモンスターが結界の中にいるんだか」
鋭い、呆れたような声が聞こえた。そこには白い防具を身につけ、冷たい輝きを放つ刀を持った、仮面の剣士が立っていた。
剣士は刀を持ち直すと、ゾンビの群れに向かって駆け出した。そして緩慢なゾンビが反応する間も与えず、一太刀で胴体を真っ二つに斬り裂いた。ゾンビの群れは消滅し、剣士は刀を鞘に納めた。
「ていっ!」
ジールも目の前のゾンビに止めをさし、剣をしまった。そしてすぐに仮面の剣士の元へ駆け寄る。
「ありがとう、助かったよ!君、強いね」
ジールが握手を求めて手を差し出した。しかし仮面の剣士はそれに応じず、ジールの方に顔を向ける。
「あんた、名前は?」
「おれはジール!よろしくね!」
さらに手を差し出すジール。しかしやはり応えてはくれない。
「慣れなれしくしないでよね。あんたがいなかった方が都合が良かったんだから」
「どうして?」
「足手纏いだってこと」
剣士の棘のある言い方に、ジールもムッとする。