小説

□another world
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【another world】








―ドンッ

僕が急いでいると、人にぶつかってしまった。
そのまま僕は倒れてしまった。
顔をあげると、一人の男性が立っていた。

「あっ、す…すみませんっ」
「大丈夫ですか?」

見知らぬ彼は僕に手を差し伸べた。
優しく微笑む顔に僕は圧倒されてしまった。

「あの…」
「あ、ありがとうございます」

彼の手を掴むと、ふっと引っ張られた。
その勢いで彼の胸に顔をうずめた。

「すみませんっ」
「…?謝るようなことしてないじゃないですか」
「あ……そ、それもそうですね」

それでもなお、彼は笑顔を絶やさなかった。
僕はその笑顔に吸い込まれそうになる。
どこかで心臓がトクンと鳴った。

「で、では僕はこれで―」
「待って!」
「―!」

急に左腕を掴まれた。
思わず振り返ると、彼は真剣な顔で僕の左手を見つめていた。

「ケガ、してますよ」
「え……ほんとだ…」

手の平から血が一筋流れていた。
彼は目線を僕の顔へと移してきた。

「治療しましょう」
「あ、いえ…気にせず」
「家近いので、遠慮しないでください」
「は…はぁ……」

こんな時代にも、こんなに優しい人がいるんだ。
まるで漫画やドラマみたいな展開だ。
ケガしてるのが女性だったら、きっと恋に発展するだろうな……僕は何考えてるんだ。





「消毒しますね…」
「………」
「沁みますか?」
「いえ………あの、なんでここまで…」
「え…?」

彼は僕の顔をじっと見つめた。
僕、変なこと言ってないよね?
なのに彼は不思議そうな顔をしている。

「私はただ…あなたがケガをしていたから」
「……優しいんですね」

ふと机に目を向けると、教師用の中学生向けの教科書が置いてあった。

「あの、先生…なんですか?」
「え…あぁ、はい」
「こんなに優しい先生でしたら、生徒のみんなも頼りにしてますよね」
「………そうですかね」
「え?」

どこか寂しげな表情をしたまま、僕の左手に包帯を巻きはじめた。
何かまずいことでも言ったかな…。

「はい、これで大丈夫ですよ」
「…ありがとうございます」

しっかり巻かれた包帯を見て、改めて思う。
やっぱりこの人は優しい人だ。
そんなに大したケガじゃないのに、ここまでしてくれるなんて。
お人好しっていうのかな…。

「……お昼、食べていきませんか?」
「え、あの…」
「あっ、すみません……急いでますよね…」
「えと…えっとぉ……時間あるんで、大丈夫ですよ?」
「そうですか。では今から作りますね」

どうして?
どうしてそこまでする?
初対面なのに、ここまでするなんて…お人好しすぎる。
僕もなんで返事をしたんだろう…。

「あ、あの…やっぱり僕、帰ります」

そうだ…帰った方がいい。
彼は少し不気味だ。
それに、彼に迷惑掛けるのもどうかと思う。
だから今すぐ―

「待ってください」
「っ!」

ケガをした左手を思いっきり掴まれた。
その刹那、全身に痛みが走った。

「ほら……まだ傷も癒えてないんですから…」

そういうと、巻いたばかりの包帯を解きはじめた。
何がしたいんだろう。

「もう一度、消毒しましょう」
「…え、うっ!」

傷口を舌でなぞってきた。
ずきっとするが、あとから心地よくなってくる。

「んっ…い、た…」
「痛いですか?我慢してください…」
「そんな…あ、ん」

舐められた所が徐々に熱くなっていく。
不思議と痛みも和らいでいく。
こんなこと、ほんとはされたくないのに…心のどこかで許してしまっている。

「ん……」

この快楽が体の一部に刺激を与え、不覚にも膨張していく。
なんとかばれないようにと、右手をゆっくり中心へと持ってきた。
しかし、彼は気づいていたようだ。

「こっちは我慢しなくていいですよ?」
「…っ」

右手を除けられた。
じっと中心を見つめて、微動だにしない彼。
するとゆっくり顔を埋めてきた。
それに伴って僕のは徐々に膨らみを増していく。
完全に彼の顔にあたっている。
恥ずかしさのあまり、彼の顔に手をかけたが、すぐに左手がそれを遮った。

「あなたさえよければ…良くしてあげますよ…?」

優しく微笑んだ。
僕は何故か断れなかった。
黙って頷き、彼の流れに身を任せていた。
下着ごといっきにズボンを脱がされ、もうすでに勃っているものが現れる。
恥ずかしくて彼から目を離すが、そっと元の位置に戻されてしまう。
彼の口が緩んだ。
そして、彼の顔がゆっくりと中心へ寄ってくる。
口の中に僕のものを含むと、温かい舌が先端に触れた。

「あ…あっ…や…」

舌の動きが緩やかから急に速度を増した。
同時に熱も増していく。
このまま噴き出すんじゃないかとか、彼は僕の体液をどうするつもりなんだろうかとか、いろいろ考えていた。
すると、突然口を離した。

「ん…」
「イきたかったらどうぞ?…それとも、口の中ではイきたくありませんか?」
「へ?」

するっと彼の指が先端を撫でた。
ぴくっと体を震わせると、彼が微かに笑った気がした。
今更思うが、僕は彼に犯されているんだ。
彼の手によって、僕は今、快楽に向かっているんだ。
そう思うと、なんだか嫌な気がしない。

「…いい、ですよ……口で」
「そうですか……では」

再び彼の口が僕のを覆った。
彼の唾液と僕の体液が混ざり合って、いやらしい音を響かせる。
太股に触れてる彼の指…時折するっと撫でてくるのは、無意識なんだろうか?
どっちにしろ、それもまた、僕に快楽を与える。
ふいに自分の左手を見ると、赤く線の入った手の平が。
そういえば、僕ケガしてこの人に会ったんだ。
初対面なのに、こんなことまでするなんて…僕、変になったかな。

「あ…も…もぅ…きそう…」

それを聞きつけ、口の動きを速めてきた。
今すぐに出させてあげる、とでも言っているかのような目。
僕は目をぎゅっと瞑って、必死に声を抑えようとした。
しかし、それも束の間。

「あ…ああっ!…ん…ひぁ…」

彼の口の中で盛大に精を噴き出した。
次々と出てくるそれを、彼は舌を使って上手に取っていく。
全てを取り終えると、ごくっと喉を鳴らして飲み込んだ。
性器から口を離すと、にやりと笑った。

「どうです?結構巧かったでしょう?」

確かに、彼は慣れているような感じもした。
しかし―彼はこのような経験をしたことがあるのだろうか?
だとしたら…最初から最後まで、全部計画的だったと?

「あ、あの…」
「…私の勤めてる学校に、あなたに似たような人がいるんですよ」

微笑みながらそう言った。
僕に似た人?

「それで、思わずいじめたくなったというか……はは、すみません」
「……その人と?」
「…えぇ、一度……彼は生徒の為ならどんなことでもする人でして…あなたもそうでしょう?」
「え―」

どこか陰りのある表情を見せた。

「誰かの為に…一生懸命になってませんか?」
「…なんで」
「さぁ……何故でしょうね……なんとなくそう思った、とでも言っておきましょう」

また優しく微笑んだ。

「…さ、もうお帰りになったほうが……ケガ、早く治るといいですね」

あ…彼が、遠のく―

「あ、あの!」
「…なんです?」
「あ、あなたのこと…好きになってもいいですか!?」
「………」

彼は目を細めて僕を見た。
そしてふっと視線をそらした。

「…あなたの一番は私ではありません」
「え…」
「だから……いつの日か、私だけを見ているようにしてあげます」

隣に座り、額にキスをしてきた。
すると、魔法にでもかかったかのように眠くなってきた。

「今は…ゆっくりとお休みください…」
「あ………」

意識が遠のいていく。
彼の体に吸い込まれるように倒れていった。
そしてそのまま、眠りについた。





END








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みなっちさんリクエストありがとーございます!
みなさんのこくどたんに対する愛(というか羞に対する愛)が強烈です(笑)
管理人、とても楽しく書かせてもらってます!
今回、お互いの名前呼んでないのです!
しかもキスしたのはたったの一度!クライマックスにだけ!
そのくせえちぃシーン書いてやがる(ノ∀`)

いつでもリクお待ちしております
(`・ω・´)

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