小説

□mirror
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恋をした―


これは今までにない、落ちてはいけない恋なのかもしれない―


俺が恋をしたのは―







【mirror】







―ピッ

「よし、送信完了っ」

収録が終わって、家で出演した人たちにメールを送った。
内容は全部、『お疲れ様』とか『また会いましょー』とかそんなことばっかりだけど。
携帯を目の前から離し、天井を見上げた。
疲れたあとだから、ベッドに寝てるとすっげー気持ちいー。
このまま寝そうになってきた。
けれど、それを邪魔するように俺のお腹が音を立てた。

「…コンビニ行ってこよーっと」

バッとベッドから起き上がり、携帯と財布を持って靴を履いた。
何買おうかなーとか、タバコ切れてたっけ?とか思いながらドアノブに手をかけた。

―ガタっ

「っ…?」

ドアを開けた瞬間、部屋の中から物音が聞こえた。
その時は何かが倒れたんだろうって気にしなかった。
ちゃんとドアを閉め、鍵も掛けた。

「…やっぱ気になるな」

そう呟いたけど、今更戻るのも面倒だったからそのままコンビニに向かった。



「1150円でーす」
「…はいっ」
「ちょうどお預かりします」
「…」

今になってまたあの物音が気になり出してきた。
何が倒れたのか気になるし、もしかしたら何かが倒れたんじゃないかもしれないし。
でも人が入ってくる余裕なんてなかったし。
やっぱり気のせ―

「お客さん!レシートいるんですか?いらないんですか!?」
「あぁ、は、はい…いります…すみませんっ」

レシートいるかどうか訊いていたみたいだった。
俺集中するぐらい考え事してたんだ…反省。
後ろに並んでた人たちにぺこぺこ謝りながらコンビニを出た。



―ガチャ
鍵を開け、中に入りドアを閉めた。
するといきなり―

「おいっ」
「っ!?」

突然、肩に乗っかってきたもの。
声がしたのは、わかってる。
誰かが後ろにいる。
でも誰?
鍵は閉めていたはず…窓も、開けてなかったはず。
なのに―

「…ここ、どこだ」
「え、あ………れ?」

よく聞いてみると、聞いたことのある声だ。
でも誰の声だっけ?
俺は恐る恐る振り返った。

「…え?…え?」
「!!?…お、おま…は?…はぁ!?」

お互い顔を見た瞬間、焦りだして何が何だかわからなくなってしまっている。
俺が見たのは―

「江夏……」





なんていうのかな、こういうの。
なんとかかんとかっていう現象だと思うんだけど、名前でてこない…。
とりあえず、江夏にはここがどこで、俺は誰で、お前はこういう奴だってことは教えといた。

「まあ、ゆっくりしてけよ」
「…できるかっつーの」
「そうか?結構落ち着いて座ってるじゃん」

冷蔵庫から酒を取り出して足で扉を閉めた。
ババッとさっき買ってきたものをテーブルに広げた。
江夏の目が並べられたものをじっと見つめていた。

「食べていいよ。ごめんな、ジュースないわ」
「……酒でいい」
「だめだよー、まだ高校生でしょ?」
「…いいからよこせ」
「…しょーがないなー…ほんとはだめなんだからね?」

俺も甘いのかなー、高校生に酒渡すって。
でも、相手は俺だから変な感じもしないんだけどね。
江夏に酒を手渡すと、すぐに缶を開けてグイっと飲み始めた。

「……」
「…んっ…かはっ」
「いきなり飲むからだろー」
「…っるせ」

買ってきたスナック菓子の袋に手を伸ばし、バリっと雑な開け方をした。
江夏っぽさが思いっきり出てるし。
俺も酒をちびちび飲みながらお菓子に手を伸ばした。

「不思議なこともあるもんだな」
「いい迷惑だっつーの」

確かに、いつの間にか違う世界にいて、しかも同じ顔の奴と一緒になるなんて。
でも俺にとっては面白いかも。
こんな経験滅多に…つーか確実にないからさ。

「…えい」

―ふに
江夏の頬を指でつついた。

「…なにしてんだ」
「いや、触ってみたくなっただけ」
「…酔ってんじゃねーのか」
「全然」
「…ほんとかよ…」

髪や髭、耳、いろんなとこを触った。
相手は俺の姿してるけど、触ってみると自分の顔じゃないような気がする…なんだがこんがらがる。

「もうやめろ」
「もちょっと」

そして、唇を触った時だった。
―どくん
なぜか心臓が跳ねた。
そして、気づいた時には―

「!……や、め…」
「ん、んっ」

江夏の唇にキスをしてた。
なにも考えていなかった。
とにかくキスしてみたい、と思っただけ。
自分の体だから抵抗はなかった。

「ん………っにする…」
「あ、いや……自分とキスするのどんなかなって…」
「んなこと、いちいちやんなくても…」
「だって…したくなったから……」

それしか言いようがない。
それにしても、俺って意外に柔らかかったな。

「…ごめんな…」

江夏は顔を赤くしたまま黙っていた。
酒やつまみをがつがつ飲み食いあさってた。





「…普通に居座ってっけど、いいのか?」
「別に問題なしっ」

ま、俺がもう一人増えたぐらいでどうってことないけど。
一人じゃつまんねーし、ちょうどよかったかも。
…っていってもさっきあんなことあったけどね。

「江夏はベッド使っていーよ」
「……いい」
「遠慮しなくていいって」
「遠慮なんか…」
「いーから!」

―ボフッ
江夏をベッドへ押し倒した。
唖然として俺を見ていたが、すぐに素直になった。

「…わかった…」
「そう、素直になれば……っ!」

胸倉を掴まれて思いっきり引っ張ってきた。
江夏の上にボフッと乗っかる体勢になってしまった。
それでも江夏は冷静で、無表情な顔で俺を見つめてきた。

「傍にいろ」
「……ガキじゃないんだから」
「…いいから」

するといきなり抱きついてきた。
寂しさを紛らわしているようにみえる。
だから俺も、なんだか静かになってしまう。

「…ん、わかった……わかったから、放して」
「…だめだ」
「…わがまま…」
「ああ、わがままで結構」

低いトーンで言い返してくる。
自分の声だから余計に変な気分。

「……」
(…なんだよ、もう寝てるし…)

江夏は目を瞑って眠りについていた。
俺はというと、全然眠くない。
だからこうも腕を掴まれてると、どうしようもない。

(…江夏には悪いけど、外してもら―)
「どこ行くんだよ」
「!」

眠ったはずの江夏が目を覚まし、再び俺の腕を掴んできた。
俺は思わず驚いて、目を見開いた。
眠気も一層覚めた。

「ね、寝てたんじゃ…」
「…勝手に動くな」
「だ、だって俺眠くないから…」
「……」

―ぎゅっ

「ちょ!」

掴んでいる力を強めて、放すもんかという目で俺を見てきた。

「な、なんで…こんな…」
「ん?仕掛けたのはそっちだろ」
「っ…」

力いっぱい俺を引っ張って、そして―

「んんっ!?ん、んっ」

キスをしてきた。
重なる唇の間から溢れる唾液が音を立てる。
―ぢゅっぢゅっ
いつの間にか、腕を掴んでいた江夏の手が俺の頬にあった。
手から伝わる温もりが徐々に俺の心臓の動きを早くする。
―ぢゅっくちゅっ

「ん、はぁっ、ん」

一度放してもまたキスされて、息が苦しくなってくる。
江夏の舌が俺の舌に絡まって、唾液が混じり合う。
お湯みたいにあったかくて、体の力が抜けていく。

「んぁ…ん……ん!?」
「…楽してやるよ…」

気付けばズボンを脱がされていた。
そして、江夏の指が俺の中へと侵入してきた。

「や!やぁ!!」
「静かにしろよ…」
「む、無理だって…ぁ、ぃ…ん」

―ズッ

「ひっ……!」
「ほらな」
「あ、ぅ…」

すっかり人差し指が入っていた。

「な、何もないと…いた、い…」
「…お前、ローションとか持ってんのか?」
「も…持ってないけど…」
「なら我慢しろ」
「そ、そうじゃなくて!抜けよ!」

しかし、江夏は俺の言葉を無視して、指をぐりぐり掻き回してくる。
思わず江夏に抱きついてしまい、羞恥心が一気にマックスになる。

「…ここ、どうだ?」
「な、なにが…」
「ここか?」
「だから何が…」
「こっちか」
「だか…あ、うっ!!」

江夏がある部分を触ると、反射的に体がビクッと跳ねた。
きっとそこが“一番感じるとこ”なんだろう。
自分がこういうことされると、もうわけわかんなくなる。

「アタリ、か」
「やっ、えな…も、やめ…」
「ほら、鳴けよ」
「んっ」

意地悪するように、感じるところを何度も何度も指で弄ってくる。

「…お前、これでイけんじゃね?」
「え……ん、ぁ…」

これで…?
俺が?イくの?
そう思った瞬間、もう行動に出していた…。

「ちょ、おま、締めんなよ…ッ」
「や、だ、だって…お、俺、これで…イくの?」
「可能性きいただけだろ…」
「や、やだッ…こ、これ、やだっぁ」

自分でも何言ってるんだって思ってる。
これじゃない方法でイきたいとでも言ってるのか?

「……だったらよ…挿れてやるよ」
「!」
「挿れてほしいんだろ?」
「ち、ちがっ!」

抵抗する余裕もなく、江夏は大きくなったソレを入口へとつけてきた。
何もない状態で、それはまずいでしょ…。
けどうちにはそういうものないし…。

「んぁっ…」
「ッ、力…抜けよ…」
「だ、だって…」

それでも無理矢理中に捻じ込んでくる。
入ってくる度に入口が信じられないほど広がって、血でも出てくるんじゃないかって思う。

「んッ、く…」
「きっつ……んっ、入ったぞ…」

俺の顔を見てニヤッとした。
江夏らしい顔だ…。

「はは、お前……よく見ると、可愛いな…」

なに言ってんだよ!
三十路の男に対して…しかも自分とおんなじ顔の奴になんてこと言ってんだよ!
俺が恥ずかしくなる…。

「なぁ……キスしていいか?」
「は…?」

江夏が素直にきいてくるのって…なんか変だな…っていうか絶対変だな…。
もっとがっついてくるのかと思ってたけど。

「……断ったら、やめるのか?」
「…んなわけねーだろ」

笑みを浮かべながら、俺の唇を素早く奪った。
その瞬間―

「んっ……!」

―ビュクッ

我慢の限界が思いっ切り噴き出した。
それでも江夏はキスを続けていた。
俺は涙を流しながら、江夏のキスを受け止めていた。

「え…な、んっ…」
「…ん」

―ズッ

「…!ちょ、江夏、何してんの!」
「ん?…俺もイきてーんだよ」
「ちょ…な、なか!?」
「悪ぃか?」
「だっ!!と、トイレ行けよ!」
「無理…もう出そ…」
「は…っ」

俺の状態なんて無視してピストン運動を繰り返してきた。
もう、こっちは体くたくただって言うのに。
激しい動き、速くなる鼓動、それに反応して俺のはまた…。

「んだよ…イき足りねーのか?」
「ち、ちが…」

すると、江夏は右手で俺のをぎゅっと握ってきた。
そしてそのまま擦りはじめた。
後も前も攻められるから、ものすごくわけわかんない。

「ん、あぁっ!こ、これ…やめ、て…」
「いいのか?」
「そんなの…誰も…言ってない…」

それからはお互い黙ってしまい、俺の喘ぎ声だけが耳に入ってくる。
ずぶずぶと、いい所を突いてくる。

「え、な……」
「…イきそう…」
「え…?」

―ドクン

「ッ……!」
「……はぁ、はぁ…」





「ん…」

俺…寝てたんだ…。
目が覚めるとベッドの上だった。
下半身は何も履いてない状態…って江夏ってどこまでもめんどくさがりな奴…。
腹はかぴかぴだし、江夏は隣でぐっすり寝てる。

(とりあえず…ズボン、ズボン…)

ベッドのすぐ下に俺のズボンがぐちゃっと置かれていた。
江夏を起こさないように静かにベッドから出て、ズボンを履いた。

「んっ、起きたのか…」
「あ、起こしちゃった?」
「………っつか、あんなことされて、平気なんだな」
「平気なわけ……」

俺が言い終わる前に、腕を引っ張ってきた。
ベッドに戻されて、目の前に江夏の顔が近づいてきた。

「だったらもっと拒め」
「ぅ……」
「ほら、嫌なんだろ?抵抗してみろ…」
「うるさいな!……なんて言っていいかわかんねーよ…」

江夏の手を振り払った。

「…俺は、好きだけどな…」
「……!」

何を言ってるのかわからない。
俺は…俺は…。

「……っ、江夏?」

急に優しく抱きしめられた。
江夏らしくない…。

「…次から、優しくする…」
「え……」

ずくん、と心臓が跳ねた。
ここで、俺も好きだっていえたら…どんなに楽だろうか…。

神様助けて。
俺が恋したのは……もう一人の俺でした。

「…うん」





END








----------
ひかるさん、いつもリクありがとうございます…!
だんだん江夏がいい人になっていく件について
もう、誰か管理人を止めてください^q^
妄想が止まりません(爆)

そんなこんなで、いつでもリクお待ちしております…

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