小説

□セイハンタイ
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彼に出会ったのが、運の尽きか。
それとも、幸福への路か。
僕には―わからない。





【セイハンタイ】





僕が仕事を終え、またトリックハート城に向かおうとするときだった。

「っ!?」

道端に一人の少年が倒れていた。
ひどい怪我を負っており、多分喧嘩でもしたのだろう。
最初は無視しようかと思った。
見るからにガラの悪そうな少年だったし…厄介事は好きじゃない。

けど………なぜか惹かれた。
助けなきゃって思い始めた。



「ぅ…」

少年が目を覚ました。
うっすらと開いた目で辺りを見回す。
そして、僕を姿を捉えた。

「ここ、は…」
「僕の家。君、路上に倒れてたんだよ?」
「…っ」

顔を引きつらせて頭を押さえた。

「大丈夫?怪我してたから…一応手当はしといたよ」
「……誰も助けてって言ってねーぞ」
「くさい台詞吐くね〜」
「っるせ…」

ちょっと照れた様子で顔を背けた。

「今日は泊まっていきなよ、もう遅いし……あ、でもお母さんとか…」
「いねぇよ…」
「…一人?…そか…」

なんか失礼なこと言っちゃったなぁ。

「…っつか、ここ家って…」
「あぁ…自分で言うのもなんだけど…僕ね、富裕層の人間なんだ」
「…金持ちか。にしても当の本人はだせー服着てんだな」
「う、うるさいなぁ!助けてあげたのにそんな態度…」

まったく、最近の若い子って…。
ちゃんとなってないっていうか…僕が学生の頃なんて―

「おい」
「…なに」
「腹減った」
「はぁ?」
「何か食わせろよ」
「……はぁ、わかった」

とことん性の悪い子だな…。
なんで助けたんだろ…僕、おかしくなったか?

「今、なんか持ってくるよ…」



「あり合わせだけど、どうぞ」
「…これがあり合わせ…」
「…中流階級の人にとっては十分かな」

そんな言葉も無視して、少年は間髪容れず目の前の料理を食い漁りはじめた。
こういう部分は学生って感じかな。

「…君、よく喧嘩するの?」
「ああ…だからなんだ」
「いや、聞いてみたかっただけ…」
「なんだ?心配でもしてんのか?」
「そりゃぁ……少しはね…」
「はっ、見ず知らずの奴を助けて、そんで心配まですんのか?とんだお人好しだな」
「そんな言い方…」

確かに…気がつけば大蔵家の家事を手伝っていたり、千里さんを助けたり…人によくするばっかりだ。
自分のことは後回しって感じ…。

「ねぇ」
「んだよ」
「一人ならさ、ここに住めば?」
「は?」
「…あ、いや…そうだよね!なに言ってんだろ…」

なんでだろう…。
彼のことを放っておけないから?
いや、違う気がする………自分でもわからない…。

「わけわかんねぇ…」
「はは、気にしないでよ…」



数分前まで盛られていた料理はすでに姿を消していた。
相当空腹だったのだろう。

「んじゃ、遠慮なく居座らせてもらうぜ」
「え……」
「てめぇが住めって言ったんだろ」
「そ、そうだけど…まさか受け入れるなんて…」

なんかとんでもない人を招いたような…。
けど、これで彼の欲が満たせれば、いいか。

「僕の部屋使っていいから。あと、使用人には君のこと話しておくよ」
「…てめぇは?」
「ちょっと用事」

そう。
元々、大蔵家の城に行くのが目的で、彼を助けるのは予定外のこと。
彼も心配だけど、千里さんたちも心配だ。
……けど、そうも言ってられなかった。

「待てよ」

腕を掴まれ、道を遮られた。

「ちょっと、行かなきゃなんないんだから」
「…少し、黙っとけ」

ふっとベッドに押し倒された。
彼が覆いかぶさる。
切れ長の目で僕を見つめてくる。

「何する気…」

ぴちゅ

「うく…」

首筋を舌でなぞってきた。
僕の体には衝動が走り、ぶるっと震えた。

「なぁっ!」
「お前でなら…イけそう…やりがいもありそうだな…」
「なに言って―っ」

口を塞ぐようにキスを迫ってきた。
気がつくと、彼の手が僕の服を一枚ずつ剥がしていた。

「んぁ」
「乳首感じんのか?」
「ち、ちがっ」
「うそつけ……」

その刹那、スーっと彼の舌が胸をはしった。

「やめ…」
「そのわりには…体は反応してるな?」

ズボン越しに股間を撫でてきた。
口調は荒いのに、なんで優しく触れるんだよ。
余計………君のことが………。

「はは…えっろ」
「う、ぁ…」

曝け出された僕のソレの先端から透明な液が溢れた。
彼はその液を指でこすっている。

「あ、んっ…も、や…」
「力抜いとけ…」
「え……あっ!」

指がナカへと侵入してくる。
すぐに根元まで入り込み、そしてナカを掻き回す。
もどかしい…力を入れても抵抗できない。
やり方はサイテーだけど、彼になら…。

「も……き、みの…ほしっい…」
「……っ!」

思わず抱きついて自分からいってみた。
彼はキョトンとした顔で僕を見つめた。
そしてすぐに指を抜いた。

「…覚悟しとけよ…」

躊躇なく、彼のモノが入り込んでくる。
じゅぷじゅぷ、と音を響かせ、ピストン運動を繰り返す。
奥に彼のがあたると、すごく快感だった。
こんな関係、本当はよくないかもしれないけど………僕は、これでいいって思う。

僕の悲鳴…というか喘ぐ声だけが反響する。

「あ、あっ、はぁう…ひ、んっ」
「…くぅっ……も、出すぞ…」

びゅるぅ

「あ、ぼ、僕…もっ…」

びゅくっ

お互いの荒い息遣いがきこえてくる。



「い、いきなり……悪かったな…」
「ううん、気にしないで…」

ベッドで丸くなる僕に対して背中を向けて座る彼。
後ろめたさが残る二人。

「僕も何気に誘い受けだったし…」
「……」
「……はぁ…」
「……俺、帰る」
「え?」
「じゃぁな…」
「ま、待ってよ!」

ガシッ

「?んだよ…」
「いかないでよ……一人にしないでよ…」

やっと居場所が見つかったんだ、離れられたら困る。

「なんだよ……寂しいってか?」
「…うん…」
「なっ、まじかよ……」
「…責任、とってよ…」
「…?」
「君に……惚れたんだから…」
「なぁっ!?」

自分が恥ずかしい。
けど、今逃したら後悔しそうだった。
だから、言ってしまったのかも…。

「お願いだから…」
「………わぁーった」

僕の顔を掴み、唇へとキス。
さっきのキスとは違って、力強く、優しい。

「俺に惚れたら………死ぬまで付き合えよ…」
「うん…」

その会話を挟み、再びキスをした。
熱く、とけてしまいそう。

よく考えたら、お互い名前知らないんだ。
それなのに僕は…彼を好きになった。
年下で、性格が真逆の彼が、愛おしくなった。

『アイシテル』

彼の口から、そう零れた気がした。





END








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ななトモさん、リクエストありがとうございます!
えなったんは書いててほんと楽しいです!
もちろんこくどたんもMっ気たっぷりで(笑)
っていうかクライマックスに突入するに従って、えなったんが優しい口調になるのだが…?
えなったんは「愛してる」なんて絶対言わないと思う
だからこそ言わせてみたこの作者の頭は沸騰してドロッドロで固体の面影なんて何一つありませんよ←ちょ
暴走してしまった(゜∀゜)

リクエスト、いつでもお待ちしております!

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