小説

□下克上は突然に
1ページ/1ページ

「んっ、さき…もと、くん…」

口元から漏れる声。
僕の愛しい人の声。
僕の名前を呼ぶ声。
全てが全て……僕のモノだ。







は突然に】







「つるのさーん、起きてくださーい」

楽屋のソファで寝てるつるのさん。
よだれまで垂らして…。
むくっと起き上がると、まだ眠たそうな目で僕を見つめてきた。

「…んぁ……はれ?俺、寝てた?」
「ええ、ぐっすり。口、よだれ」
「ん、あぁ…」

これが34歳の人ですか。
僕は信じれませんね。
僕より若い気がする(身の振る舞いが)。

「それで、僕の夢でも見てたんですか?」
「え!なんで!」
「寝言で『崎本くん』って言ってましたよ」
「そ、そうなの………んー確かぁ…崎本くんが登場しただけだったような…」

なんだ…普通ですね。
いや、普通より下?
登場しただけって…。

「もっと面白いの見てくださいよー」
「そんな無茶な」
「僕なら、つるのさんを面白おかしく滑稽な姿で登場させますけど…」
「ちょ、なんかムカつくんだけど」

つるのさんは頬を膨らませて僕を睨みつけてきた。
なかなかその視線は外れなく、むしろ眼力が強くなってる。

「…はいはい、すみません」
「ちゃんと謝りなさいー!それが年上の人に対する態度かなー!?」
「…つるの様、どうか僕をお許しください」
「………ぷっ」

…笑った?

「崎本くんずるいって〜」
「ふふ、だってこうでもしないと、つるのさん許してくれないですもん」
「はは……あ、で、収録まで何分?」
「あと…30分ですね」
「そっか…」

―んちゅ

思い切って僕は…つるのさんにキスをした。
理由?………思いつきかな。
したいって思ったから、かな?

「あ……さ、崎本、く、ん?」
「…しちゃまずい、ですか?」
「へ?は?ま、まずいって……そ、そりゃ急に……ええ?」

つるのさんは顔を真っ赤にして顔を手で覆った。
耳まで赤くして、僕から懸命に目を逸らそうとしている。

「も、もう……お、俺、スタジオ先行ってるからな!!」

バタンッ

「………」











収録時、つるのさんは若干顔が赤くて、時折僕をチラ見していた。
そのことを紳助さんにいじられたり、同じチームの人に「なにやってんだ」って言われてたり。

けど、何事もなく収録は終わった。

「つるのさん、お疲れ様です」
「もー!誰のせいだと思ってんだよー…」
「僕のせいですよね、すみません」
「はぁ……なんであんなこと…」

ソファに顔をうずめて訊いてきた。
そこで僕は思う。
意地悪してやろうって。

「あんなことってなんですか?」
「え…」
「言わなきゃわかりませんよ?」
「ちょ!もうお前さんは!」

つるのさんの顔は徐々に赤くなっていく。
恥ずかしいって気持ちが伝わってくる。
それなのに僕はそれを面白がって見ていた。
心臓が跳ねたのがわかった。

「……っ!」
「つるのさん…」

優しくつるのさんの髪を撫でる。
普段こんなことはできない。
させてもらえない。
けれど、今のつるのさんは隙がありすぎ。

「つるのさん……キスしちゃダメでしたか?」
「ふぇ…?」
「僕、ですね……つるのさんが…欲しいんです…」
「……はぁ!?な、何言っ」

開かれた口を閉じるようにキスをした。
今だけでいいから、時間よ…止まれ。
この人と一つにさせて…。

「んっ、、や…む、胸…触ん、ないで…」
「弱いんですか?」
「…んんっ」

わざと強く握ってみた。
するとつるのさんの体はビクビクと震えあがった。

…僕は何をしてるんだろう…。

これは、やっていいことだろうか…。
だけど、本能というか…体が勝手に動くというか…。

「服、脱がしますね…」
「へっ」
「優しく……しますから」

現れる―素肌。
触れる―指。
感じる―ぬくもり。

今だけ僕のものに―

…ちゅ

「や、そ…なとこ…舐めるなよ…」
「好きです…」
「そ、そんなこと聞いてなっ、んっ」

必死に抵抗するつるのさん。
その姿はまるで小動物か何か。
のた打ち回る姿が、僕の瞳に映る。

触れる度に動く体を追っていく。
逃がしませんよ…。

「ひぁっ!!な、なかに、なんか入って…」
「指、ですけど?…痛かったらいってください」
「んぁっあ!ぅ、ぐ…」

初めての感覚が指に走る。
これが…人のなか?

「や、もう…出そう」
「もうですか?」
「だ、だってぇ……」

「じゃあ、挿れましょう?」

「え…」
「ね?」
「無理無理無理!!だめ!絶対だめ!!」

ズポッ

「や、急に抜かないで…」
「挿れます……」

僕のをゆっくりと入口へ近づけていく。
つるのさんはグッと顔に力を入れた。

入る―

入っていく。
熱を感じる。
こんなに熱いものだったのか…。

徐々に僕のも熱を帯びていく。
噴き出しそうになるくらい、熱い。
いやむしろ、もう出したい。

「つるのさん……出します…」
「え……な、なかで?」
「はい…」
「だ、だめ!だめだめ!」

ビュクッ

「だ……い、いま、なんか入って…」
「もう、出しちゃいました」
「ば、ばかー!!」











事後というのは、こんなにも虚しいものなのか。
つるのさんはまたソファに突っ伏したまま後悔していた。

「すみません」
「…別に」
「あの、怒ってます?」
「…怒ってないよ」
「じゃあ、顔上げてください」
「…ヤダ」

そりゃそうですよね。
目の前にされた相手がいるんですから、誰だって。
逆の立場なら僕だって…。

「許してください」
「…怒ってないってば」
「だったら僕を見てください」
「…ヤダ」

このままじゃ埒が明かない…。

サラッ

昼間みたいに髪を撫でた。
つるのさんは少しびくっとした。

「…ごめんなさい」
「…」
「僕、どーかしてました…無理矢理、こんな…」
「………崎本くん」
「はい?」

むくっと起き上がり、僕の顔を見つめた。
まじまじ見られると、恥ずかしい。
そりゃ、僕を見てって言ったけどさ…。

「チューして」
「え…?」

最初僕はどういう意味かわからなかった。

「チューしたら…気が変わる、かも…」
「…?」
「い、いいから!」

その言葉に従う。
ゆっくりと口を近づけていく。

―触れた

やわらかな感触。
昼間したのとは違う感じだった。

「ど、どうですか…」
「俺も、崎本くんが好きだよ」
「え」
「“え”じゃない、好きなの」
「いや、でも……」
「俺だってわかんないよ!!ほんとは憎い。憎いよ?けど…今は…もっと触れたいって思う……そんくらい、好き…」

縮こまった体をそっと抱いた。
心臓がドキドキするの、バレそう。

「つるのさん…」
「でも、いきなりああいうことするの無し。それぐらい心得て」
「…はい」
「よし、いい子」

あ、撫でられた。

「つるのさんっ」
「ん?」
「好きです」
「わかってる」
「大好きです」
「知ってる」
「愛してます」
「俺も」





END








-------------
みなっちさん、またまたリクありがとでーす
さっきーの特徴があまりつかめず、今回のできはよくなかったような…すみません(汗
そして展開の早さ

「意味不ー」とか思ってもらって構いませんよ、自分の底辺並の能力を恨むだけですから
(=_=;)


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ