小説
□やわらかな衝動
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―千里さーん!?
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―あれ、これって国土くんの声?
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【やわらかな衝動】
「…夢?」
夢、っていうのは……ボキが演じる国土豊が出てきて「千里さん」って言っただけ…。
変な夢も見るもんだ。
それともあの役を気に入りすぎたか?
…まぁ、悪くはなかったよね(笑)。
「国土くんって俺にちょっぴり似てたよなー」
「どこが?」
「え?んー弱気とこ、ろ……って誰ぇぇ!?」
隣で声がしたことに気づき、思わず振り向く、と。
「ぼ、僕、国土豊って言います、けど…」
これは……夢だろうか。
ボキがボキの前にいる。
いや、焦るな。
「か、鏡だろ〜これ〜」
―コツッ
「いたっ!な、何すんのぉ!?」
「あれ……え、じゃ、何?」
「あんたこそ誰!僕にそっくりで…気味悪い…」
「自分の顔に気味悪いって言うなよ!」
「は?自分の顔?……???」
なんだよ、これ…。
どーなっちゃってんの。
や、やっぱ夢?
夢でしょ?
「で!!あんた誰なの」
「あ、俺はつるの剛士……って自分の名前でしょ?」
「は?僕は生まれてから28年間『国土豊』ですけど」
……あぁ、これ、あれだ。
「パラレルワールド」
「?」
「きっと国土くんはドラマの世界から来ちゃったんだな……」
「ドラマ??」
「いい?国土豊っていうのは、俺がドラマで演じた役なんだ」
ボキがそれを言うと、国土くんはポカンとした。
国土くんにとっては元々ある世界で、ボキにしたらドラマの世界。
理解しがたいのも無理はないかも。
「……帰れるんですかね」
「さぁ……つーか、いつ来たの」
「え?……気づいたら、ここに……さっきつるのさんが、『国土くんって俺に似てる』って言ったとき、ですね」
ホントに突然来たんだね…。
こっちもどうしていいかわかんないよ。
「あー、とりあえずさ、うち泊まっていきなよ」
「え、いいんですか?」
「いや、だって俺が一人増えるだけだし。その間帰る方法考えよう」
「はい」
「あ、あと、敬語じゃなくていいよ。どーせ自分に話しかけてるようなもんだし」
「は、はぁ……」
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それからというと、国土くんはずっと正座して動く様子がなかった。
まるでマネキンか何かか。
声をかけても、「はい」とか「うん」とか、そんな返事ばっかり。
「こーくどくん」
「え、あ、なんですか?」
…敬語直ってないし。
「お腹空いたかなーって思ってさ」
「あ…そうですね、少し」
「じゃ何か作るよ」
「え…」
「なんだよ、その反応。言っとくけど、俺作れるからねー?」
「い、いや……その…作ってくれるんだなって…」
あ…そゆこと。
なんかどっちにしろ自分に作るようだし、第一自分が腹空かせてるのに放置ってのもおかしいでしょ。
あ、でも国土くんってお坊ちゃまだから、舌が肥えてる?
いやでも、見た目はボキなんだから………ってもうできちゃった。
「はい、あるものぶち込んだスパゲティ」
「ざ…斬新……いただきます」
……なんか…可愛いな…。
って、ば、バカ!自分に言ってるようなもんだぞ!
「おいしいっ」
「あ、そう?よかった」
国土くんは笑顔でボキを見た。
本気で可愛いって…思った。
―ドサッ
「つるの、さん?」
「ごめん……1回だけ…」
―んちゅ
これが自分の唇?
柔らかくて、あたたかみがあって……もっと触れたいと思う。
「な、あ、ちょ!何してるんですか!じ、自分の顔でしょ!?」
「だって国土くん…可愛いんだもん…」
「は……」
国土くんは顔をぽかんとさせてボキを見た。
そういう顔、ますます可愛いよ。
また、キスしたくなる…。
「ん…っん」
「ふ……嫌ならもっと抵抗したら?」
「ん、だ…て……」
「何?言ってごらん?」
「わ、わかんないけど……」
「気持ちいい…」
「………」
その一言にボキは言葉を失う。
なら……もうどうなってもしらないよ…。
「覚悟してよ…」
*
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*
*
「あっ、、ふ、ぁっ」
顔を真っ赤にして声を上げる国土くん。
彼の瞳からは涙がボロボロ溢れてくる。
ボキはそれを毎回舐めり取った。
その度国土くんは体を震えさせる。
「つ、うの、、さ…」
「、、痛かったら…言って?優しくする、から…」
「んんっ」
既にはいってるボキのソレ。
あまりにも中が気持ち良すぎて、さっきからずっと脈を打つ。
「やっ、うご……動かないで…」
「ごめ、、無理」
部屋に響く卑猥な音。
同時に快感を感じる。
「あ、やっ…な、なんで…ぼ、僕イッちゃうの…」
「はは……俺もイキそう…」
お互いに熱が籠ってきて、今にも噴き出しそうになる。
だがボキは彼のソレを強く握った。
「え?な、なにして…」
「舐めったげる」
「…へ?」
―じゅぷっ
「……っ!」
口に含んだ瞬間先端から液が溢れてきた。
もう出しちゃったんだ…。
「…あ、はぁ…」
「また突っ込むよー」
「えぇ!?」
「だってまだ俺イってないもん!」
―ズッ
「っ!!」
「国土くん…」
「ら、らめぇぇぇ!」
*
*
*
*
*
「最悪…」
「ごめん」
「謝ればいいってもんじゃ…」
「じゃ、チューする?」
「ばっ!!なに言ってんすか!」
怒りにまかせて枕を投げてきた。
顔を真っ赤にさせた国土くんは相当恥ずかしがっていた。
……これが自分の姿なのが勿体無い…。
「千里さんとキスしたいのに……よりによって自分の顔を持つ人とするなんて…」
「イイ経験でしょ」
「よくないですよ!!」
今度は掛け布団を投げてきた。
女子かお前は。
「…自分のことが好きだから、こんなことしちゃったのかも…」
「え…」
「だってそうじゃない?自分のこと嫌いでキスとかできる?ましてや性交まで…」
ボキは国土くんの顔を持ち上げた。
嫌がる様子はなく、ボキの行動に合わせてくれる。
「国土くんはどうなの?」
「…何が?」
「自分のこと、好き?」
「……まぁ、それなりに…だからってこんな―」
「それは謝る。ごめん」
「あ―」
「でも、ふざけてやったことじゃないって思って。俺はホントに自分が好きだから…」
本当は『国土くんが好きだから』。
でも言わない…。
もしも、君がボキと同じようなこと考えてたら、きっと戻れない気がするから。
……ただ、そうなるのが怖くて言えないのかも。
「チューしていい?」
「……うん…」
「―ん」
唇が触れた瞬間、ふわっとした。
目を開けると、国土くんの姿がなかった。
「…はは、帰ったのかな……それとも、幻だったのかな…」
彼の姿はないけど、微かに残るぬくもり。
それが寂しさを与える。
この際幻でもいい…彼を好きになったのは事実だ。
「なんだろ……また会いたいな」
きっと無理だろう。
彼は本当は存在しない者だ。
この想いは届かないだろう…。
「…あれ?もど、った?」
「先輩?どこ行ってたんすか〜」
「平次……夢??」
「は?それより、早く客対応してくださいよ」
「あ、あぁ…わかった…」
僕の少し乱れた服。
僅かだけど、あの部屋のにおい。
本当に僕は、僕自身に会って来たんだ。
「イイ体験…したかもね」
「先輩はやくー!!」
「あぁわかったわかった!今行く!」
END
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みなっちさんリクエストありがとうございます!
それと、遅くなってしまいすみません(汗
最近忙しかったもので(T_T)
えー今回『羞国』というわけですが…
いがかでしたか?
こくどたんはやはり受けですよね
あと、羞が地の文と会話での一人称が違う件について、愛嬌ということで収めてください←
書いてて楽しかったですよ〜
またリクエストがあればどうぞ!
いつでもお待ちしてます(^-^)