小説

□ハプニングからハプニング!?
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【ハプニングからハプニング!?】





僕が大蔵家に来た日に最悪なことが起こるなんて…。
まさか千里さんが…翔とキスするなんて…。
こんなとこ来るんじゃなかった…。

「はぁ…掃除なんてやる気でないよぉ」

一人モップで床をごしごし。
千里さんの側にいれるのは光栄だけど、大蔵兄弟が酷いのなんの。
完全になめられてるもんなぁ…。

「あ、そこ終わったら次サウナな」

サウナから出てくるや否や、五男の智が僕に命令。
ったくぅ…。
っていうかリビングがそんな簡単に終わるわけねーだろ!

「国土くんっ」
「ち、千里さん…」
「なんかごめんね、一人で掃除させちゃって……あたしも手伝おっか!?」
「い、いえ!全然平気ですから!」
「そ〜?大変になったらいつでも言って?あたし手伝うからっ」

じゃあね、と言ってリビングから出ていった。
千里さん…いつも可愛いっす!


ふっ―


「ひっ!!」

突然寒気がはしった。

「はっは!おもしれー」
「な!なにすんだよ!!」

三男の翔だった。
僕の耳に息を吹きかけてきたのだ。
この爽やかな顔が腹立つ。

「邪魔すんならどっか行けー!」
「そんな怒んなって……あ、怒るのも無理ないか」
「は?」
「俺が千里とキスしたの怒ってんだろ?」
「なっ!!」
「図星か」

とことん腹立つ奴!
嫌がらせしにきたのかっつーの!
やっぱ許せない…。

「邪魔邪魔じゃーま!」

モップで足を叩いてやった。

「ってぇ!何すんだよ!」
「うるせーよ!」
「ったくぅ…気性荒い奴だなぁ…」
「誰のせいだと思ってんだよ!」
「あれは事故!元はといえば国土が俺にぶつかったんだろ!?」
「そ、それは…そう、だけど…」

なんかそれを言われると反抗できない…。
そりゃ、僕がぶつかって2人がキスしちゃったけど…。

「だから俺にキレられても困るんだよ」
「…そ、かも…」
「よろしい!国土くんは覚えが早い!」
「ば、馬鹿にしてんのかよ!」
「暇だからサウナ入ろっか?」
「は!?ちょ、やめ…引っ張んなー!」











無理矢理サウナに連れてこられた。
しかもなんで翔と2人なんだよ。
意味分かんねーよ。
気分悪いよ。
っていうか掃除しなきゃなんないのに。

「…」
「…」

翔は僕を一瞥した。
僕は顔をそらした。

「こーなる前に告ればよかったのに」
「千里さんは繊細な人なの!そんなこと…できるわけ…」
「っていうか国土自身が意気地なしなだけだろ」
「なっ!」

ますますイライラが増す。
こいつは僕をイライラさせて楽しんでいるのか!?
でもここでキレたらまたあいつのペースに…。

「…」
「あれ?反論してこないの?」
「…」
「おーい」

声をかけるだけではなく、僕の腕を突いてきた。
子どもかっつーの。

「無視すんなよー」
「…」
「なぁ!」
「ちょ、近っ!」
「俺暇なんだからさぁ、付き合ってよ」
「こっちはやることあるんだってば!」
「いーじゃんかー!」

急に翔が飛びつい…え…?

バタッ―

「あっ…」
「あ…れ?」

押し倒され、僕の上に翔が乗っかっている。
しかもお互い裸だから変な感じ…。

「あのぉ〜?」
「…」
「しょ、翔?」
「…」
「…え」

だんだんと翔の顔が近づいてくる。

「んっ…」

気づいた時はにキスされていた。
しかも優しく、触れる感じ。
けれど長時間重なっていた。

「ん、んっ…ぁ」
「…」
「な、にすん…」
「…ごめん……なんかキスできるなぁって思って…」
「“できるなぁ”って…」
「…」

また静けさがやってきた。
見つめあう2人。
不思議と…今の翔を嫌いになれない。

「あ、ん…」

再び唇を奪われる。
しかも今度は舌を使ってきた。
口内を犯し、唇をスルスルと伝う。
首筋を舐められ、体にゾクっとした感覚がはしる。

「や、ぁっ」
「はは…国土可愛い…」
「変なこと、言う、なっ」

けれど、言われても仕方ないのかも…。
僕はまるで女みたいに体をくねらせていたから。
赤面を見せ、恥ずかしがる。
“可愛い”かぁ…。

カリッ―

「んっ」

首と肩の間あたりを噛まれた。
結構強い力で。

「な、んで…こんなこと、するの…」
「わかんねぇ……けどお前見てると…したくなる…」
「なんだ、よ…それ……あっ」

またキスしてきた。
何回すれば気が済むんだ。
今度は僕からも舌を絡ませてみた。

「ん、ふっ…」
「んぁっ、ぅん」

サウナにいることもあって体がかなり熱い。
僕たち…なんでこんなことしてるんだろう…。

「はっ…」
「やべっ…病みつきになりそう…」
「な、なんなくていい……だいたい、僕は男なんだぞ…」
「知ってる…だからこそ、しちゃうのかも?」
「は?」

意味わかんね。
男だからする?おかしいだろ…それ。

「…もういいだろ…出る…」
「…待てよ」
「!」

思いきり腕を引っ張られて元の位置に戻された。
突然のことに毒気を抜かれた。

「な、何を…」
「まだ、したいことあるから」
「なぁっ!!」

巻いていたタオルを引っぺがされた。

「や、やめ…」
「男犯すなんて…初めて」
「おか…すって…や、やめろ!」

僕の声は届かず、容赦なく翔の指が入口へと触れた。

「ひっ!」

それからなかへと侵入してくる。

「ぁっ、、や…っ」
「どんな気分?男にやられるって」
「そ、そんなん…」
「俺は楽しいよ」

またもや爽やか笑顔で僕を見た。
ふざけるな…。
こっちは羞恥を晒してるのに…。
けど……。

「い……いや、じゃない…かも…」
「そ」

その一言だけ吐いて指を捻じ込んでくる。
こんな感覚初めてだから、変な気分。
時折、“前立腺”と思われるところに触れられるとさらに変な感じ。

「んくっ」
「お、ちゃんと反応してくれるねぇ〜」
「うっるさ…」

カリカリ人んなか弄くりやがって…。
ホモかっつーの。
…でも嫌じゃないんだよなぁ…。

「あっ…だ、も…」
「えぇ?もう?早っ」
「だ、って……そんなとこ…いじ、られたらぁ……あっ」

ビュクッ―

「ぁ、やっ」
「……ふふっ」

溜まっていたせいか、何度も何度も噴き出てくる。
腹の上にどんどん流れ落ちる。
その光景を見て、翔が笑みを浮かべていた。
…また馬鹿にしてるのか…。

「ほんと可愛いな…国土って」
「だ、だから…言わなくていいから…」
「足んない」
「へ?」
「足りないから…ね?」

ね?って…まさか…。

「挿れたらさ、もっと気持ちいいんじゃない?」
「いい!やんなくていいから!挿れなくていいからぁ!!」
「…でもさぁ」
「う…」

優しく頬に触れてきた。
急に優しくすんなよ…どーすればいいんだよ…。

「俺が我慢できねーから」
「…そ、そんなの…と、トイレ行けよ!ひとりでやってくればいいだろ…」
「国土のなかで出してーの」
「ぅっ」

一瞬凍りついた。
こいつが怖く感じた。
翔はタオルをはぎ取った。
すでに天を仰いでいる翔のソレ。
このあと何されるかを想像すると…ますます怖い。

「もう、挿れるな?」
「え!ちょ、早……あ、あっん」

容赦なく入ってくる。
挿れられるなんて初めてだから、千切れるんじゃないかって思うくらい痛い。

「ん、んっ」
「やっ、あ、く」

前後に動きだし、僕に…快楽を与える。
抵抗したくてもしようとしない。
頭ではわかってる…本当はこんなこと…。
だけど彼の態度は時々優しくなる。
そんなこともあってか…今は彼を嫌いになれない。
むしろ…この気持ちは…。

「やっ、しょっ…翔っ」
「なに?」
「しょ、う…す、、き」
「え―」

これが…僕の答えなのかも。

「こ、くど?…あっ」

ビュクゥ―

流れ込んでくる翔の精。
同時に僕も、果てた。











あのあと僕は気を失った。
目を覚ますまで翔が看てくれていたらしい。
その証拠に翔の部屋に寝込んでいた。

「…あ、れ?いない…」

彼の姿は見当たらなく、手紙が側に置いてあった。

「『答えはいつか出す』……あぁ!!あ、あのとき…す、すすす、すきって言ったんだっけ…」

自分で言ったことに対して驚き呆れた。

「あぁ、もう……僕が好きなのは千里さんなのにぃ…」

そう言い聞かせてるだけなのかもしれない。
心の中では…誰か別の人を好きになっているのかも。
たとえば…“大蔵翔”を。
けれど自分自身、それを認めたくはなかった。
両想いになった日になんか…同じように暮らしていけるだろうか。

でも…好きって気持ちは揺るがない気がする。

「大蔵、翔……べ、別に好きになったって相手がそういう気になるわけでもないし…むしろあいつこそ千里さんを好きになったりしてだなぁ」

バタンッ―

「お前さっきからうるせーよ!」
「…し、翔…」
「あ、あれも事故だってことにすればいーだろーがー!」
「じ、事故ぉ!?なんだよそれぇ!絶対的な確信犯だろ!僕の“好き”って言葉返せ!」
「あーもー知るか!事故でもなんで惚れてんのはお前だろ!?」
「うっ……で、でも誘ってたのはそっちの方だろー!」
「そ、それは……」

ガンガン言い合っていた空間がいきなり静まり返った。

「…せ、責任はとる」
「なんの」
「だ、だからぁ…お前を…惚れさせた、こと…」
「なっ…」
「…も、もういいから!ほら、さっさと掃除してこい!」

ほんとこいつ、なんなんだよ…。
怒ったり照れたり優しくなったり…。

けれど…そんな彼を…僕は好きになったのかもしれない。

大蔵翔、あんたは僕のこと…好きなのか?





end

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