小説大会

□君の名を呼ぶ
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彼女が"あっち"の世界に戻ってから、もう2ヶ月がたつ……


彼女が戻ってからというもの、一護の周りでは、様々な事があった。
織姫やチャド、雨竜達は彼女のことを覚えているのだが、水色や竜貴達は覚えていない……いや、正確には彼女の存在自体が消えているのだ。

さらには、彼女の事をルキ姉と呼び慕っていた、遊子や夏梨も彼女の事を覚えていない。


「どーいう事なんだよ……」

どう考えてもおかしい。


一護には、疑問が残るばかりだった。

「おかしいですね…きちんと、転校届けも出していたはず…しかも、黒崎君の父親名義で…。」


雨竜の言う事は全て正しい。
ルキアは学校を去る前に転校届けを出している。
しかも、両親のいない彼女の書類に保護者として名前を書いたのは、一護の父である一心だ。


しかし、書類に名前を書いた本人はおろか、学校にいる職員からも彼女の存在が消えているのだ。

「あっちで何かあったのか…」

「でも、今ソウルソサエティは平和なはずでしょ??」

「けどよ、井上。ソウルソサエティはいつ何が起こるかわかんねぇだろ……」

「まぁ……そりゃそうだけど…」



一護の言った通り、ソウルソサエティが常に平和とは限らない…
現に一護の死神能力は消えていないし、雨竜や織姫、チャドだって彼女の事は覚えている。


「…浦原さんにでも聞いてみっかな……」

浦原さんなら……など言いながら、一護は重い腰を上げ、自宅へと戻っていった。



「一兄おかえり!!」

「あぁ。ただいま。」


自宅へ帰ると、妹の遊子がピンクのエプロンを着ながら夕食を作っていた。
今日の夕食はカレーだよ!と、嬉しそうな顔で一護に言う。


ほんの…ほんの2ヶ月前までは、そこに彼女の姿があった。

しかし、今はもう彼女の姿は…彼女の存在は皆の記憶から消えている……


「ルキア……」

一護は小さく名前を呼んだ。

しかし、呼んだところで来るはずがない。


あいつはいない……わかっていながらも心の中では呼び続けてしまう彼女の名前。





ルキア……
あっちの世界にいるよな??

お前の中から、俺は消えていないよな……



ルキア……


ルキア……


「ルキアっ!!……っ、はぁっはぁっ…」


一護は真夜中に目が覚め、飛び起きた。
そして、肩で息をしながら、自分に今何が起こったのか必死で考えた。

「くそっ……」


一護は見たのだ。
1番大切な人を失う夢を……


「失うのは、母さんだけでもう懲り懲りなんだよ…」


虚によって大切な母を失った一護にとって、彼女の存在は大きなものだった。


「ルキア……クソっ!!ルキアまで失ったら……俺は…」


どうすればいいんだよ……


気が動転して、これ以上上手く考えられない一護は、両手で頭を抱え、必死で自分の中にある最悪な事態を消そうとした。

「何で消えねぇんだよ!!クソっ!!」


気が動転して、何も考えられない自分に腹が立ってきた一護は、とりあえず落ち着こうと、外へ出た。

「何なんだよ…っ…最悪だ…」


家から飛び出し、ドアの前で倒れるように座り込む。


「ルキアっ……ルキアっ……」


「何だ。」


急に一護の頭上から、聞いた事のある声が聞こえてきた。

この声は……いや、でも……


「ル…キア?」

「何だ。さっきから思い詰めた顔しよって。お前らしくないな。」

「ルキアなのか??本当に?」

「はぁ…誰が私だと嘘をつくのだ。」


一護が顔を見上げたその先にいたのは、紛れもなく自分が今会いたかった人物。


「ルキアっ!!」

「な//何をする!!このたわけがっ!!離せっ//」


安堵感からか、ルキアを力いっぱい抱きしめる一護に、ルキアは少々怒るが、すぐに一護の背中に手を回した。

「寂し……かったのか?」

「ちげぇよ……」

「じゃあ何なのだ。」

一護の答えに少しムッとするルキア。

「皆が……皆がお前の事、忘れてた…というか…ルキアの存在がなかった……」

一護にしてはめずらしく、ゆっくりと優しい口調で話し、ルキアはそれに驚きながらもしっかりと話しを聞く。

「俺…怖かったんだよ。もしかしたら、あっちで何かあったんじゃねぇかって……心配で夜も寝れなかった。」

「そうか……すまなかった。だが一護、私はここにちゃんといるぞ。」

「あぁ。」

ルキアの言葉と笑顔で更に安心した一護は、何を思いたったのか、急にルキアにキスをした。

「なっ…///何をするか!!急にっ!!//」

「もう手放したくねぇから……俺のだっていう印だ。」

「ふっ……たわけが。ずっと前から、私はお前だけのものだ。」

「そうだったぜ……でも、やっぱ俺のだ。」



そう言って、今度はお互い目を合わせ、甘い口づけをした……。



なぁ、ルキア……

お前がいなくなったら、また呼んでもいいか?

お前の…名を……

END


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はい。
意味解りません。

映画の現世版と考えた方がわかりやすいです。

ルキアがソウルソサエティに戻った途端、ルキアの記憶が皆から消えたのは、実はルキアが意図的に消していたのでした。

なぜかは、考えてみて下さい。

あーもーすいません。
とりあえず、一護がかなりのヘタレです。はい。

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