小説部門

□理由はそれぞれ
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休日のおやつ時間はダイニングで食べる。

準備するのはルキアだったり、遊子だったり、二人でだったり。

今日は遊子のお手製ホットケーキ。
飲み物は紅茶にして定位置にそれぞれが座る。

和やかな時間には話にも花が咲く。
今の話題は好きな季節。



「あたしは春かな。お花がいっぱい咲くし、あったかいし。お姉ちゃんは?」

「私か?私はぜんぶ好きだぞ。春は花見、夏はかき氷に夏祭り、秋は月見で冬はくりすますがある」

「おまえは全部食い気かよ。色気ねー」

「そういう一兄は?」

「俺?冬だな」

「なんで?」



夏梨の問いを無視して問い返す。



「おまえは?」

「あたしは、晴れてればいいよ。サッカーできるから」


おやつが済めばまたそれぞれが好きなように時間を過ごす。

一護とルキアはいつもと同じで一護の部屋へ。


「何故、貴様の好きな季節は冬なのだ?夏生まれのくせに」

「別に夏生まれは関係ねえだろ」


暖房がかかるまでの時間はひどく長く感じるもので、

ルキアは一護で暖をとるようにくっついた。

ほんの一時間前に消しただけなのに室温は過ごしやすい温度から遠く離れてしまっている。



「おまえが寒いって言って俺にくっついてくるから」

「そんな理由でか」

「そんな理由でだ」

「いつも季節は関係なしに抱くついてくるではないか」

「おまえが俺に抱きついてくる確率が違うだろ。今だって抱きついてきただろ、ルキアから」

「そう、だな」

「部屋あったかくなってもしばらくはくっついたまんまだしな」

「一護が放さぬからだろう」

「じゃあ、お互い様ってことで」



好きだから触れていたくて、

理由をつけてでも触っていたい。


もう少し、

あとちょっと、


こうしているのが好きだから。


(終)
 

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