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□背伸びして、キス。
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背伸びして、キス。1


「ルキア姉ちゃんおっきい!またおっきくなった?」「…クラス内では小さい方なのだぞ?甘えん坊だな、一護は」「だってちゅ−したいんだもん!抱っこ−!!」「はいはい」
小学一年生ぐらいの小さな、橙頭の男の子が…小学六年生ぐらいの黒髪の女の子にぴょんぴょんと飛び上がりながら何かをねだっている。その黒髪の女の子・ルキアは”またか”という顔をしつつも、あまりにも熱心に求めてくる男の子を止める術を持っていないので応えてやるしかなく。ご所望通り男の子を抱え上げて互いのおでこがくっつく高さまで近づかせる。
「わぁ!ルキアの睫毛長いね−」一護は愉快に笑う。
「呼び捨てはやめろ。”お姉さん”、であろう」「ルキア、僕がルキアよりもおっきくなったら結婚してくれる?それまで誰ともちゅ−しない?」「お姉さんをつけろと…まぁいい。気が向いたらしてやるから声を小さくしろ」「やった−!絶対だからね!」「んっ」
うれしそうに笑顔でキスをしてきた一護。何だか”してやったり”な顔。でもあまりにも純粋な笑顔なので、あまり真剣にも怒れない。それを、一護は知っている。
『くぅぅぅぅ…低学年だと思ってたすっとぼけおって…』
ルキアは右手を固く握り締めて怒りを必死に押さえ、一護を安全に床に下ろす。こんな子供に毎日怒っても仕方ない…な。そして一護を見てみると、小さな体で頑張って高い椅子に乗りたいのか上っていた。
「あ−…もう、危ないぞ全く…」助けに行こうと立ち上がると。
「ルキア!!これで僕も高くなった!」「はっ?!」
…声を自慢げに高々と上げた一護の方を見ると、無事に椅子の上に到着したようで。腰に手まで添え、胸をぴんと反って立っている。そして一方ルキアは大きな溜め息を一つ。
「危ないから下りるのだ…落ちて怒られるのは私なのだぞ!」
無邪気な男の子・一護を下ろそうと移動したはいいが…抱き上げようとした瞬間…またもや。
ちゅっ
「…」「わ−い!ルキアとキス−!」「…こらぁっ!年上をなめるなぁ!!」「きゃははは!」




それからルキアは、これからは一護が高い所に上り出したら逃げよう…と心に誓った。
だがそれでも、同じマンションの隣に住む五歳年下の小悪魔・一護からは逃れられそうもない。



つづく。

 
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