純情部屋(Short Story)

□テロリストとの朝
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「あ…宮城まだ行かなくて平気なの?」

今俺の横にはシャコシャコと歯を磨きながら上目がちに俺を見つめる忍がいた。

「お前こそ時間大丈夫なのか?」
「んー……今日3限目からだから………。ねみぃ…」

忍が目を擦ると共に小さな寝癖が揺れる。
か、可愛い……………って!朝から何考えてんだ!!
俺は下半身に神経が集中しかけたのを感じ、慌てて口調を厳しくした。

「ほら邪魔だ。鏡見えねーだろ」
「!!い、いっちょ前にオッサンが朝から鏡見てんじゃねーよっ」
「関係ないだろ」
「そ…そーやって色気づいて、またどっかの助教授にちょっかいだしたりするん……だろ………」

自分で言っていて傷付いたのか、最後の方は顔を暗くし言葉を濁らせた。
そんな忍が可愛くないだなんて誰が言えるのだろう。

「…はぁ。」
「な、なんだよ……否定しねーのかよ………。」
「お前、本当に俺の事好きなのな」
「なっっっなんだよ!!!!」

急に赤く染まった顔は幼く、俺は文字通り釘付けになった。
そのまま何秒か過ぎると沈黙に耐え兼ねた忍が口を開く。
「や……………やっぱいつも俺ばっか必死になって…てめぇはいつも余裕で…」

忍はいつの間にか歯ブラシを持つ手が止まっていた。
ちょっといじめ過ぎた………かもしれないと思う。
俺はもう一度ため息を付き、しっかりと横からの視線を感じながら鏡越しに忍をみた。

「…俺は上條より、今みたいにお前にちょっかい出して冷静につとめる方に必死だが…?」
「………………………!?!?!?!?」
「という訳で、今夜も覚悟するように。行ってくる」
「あ…おい宮……」
バタン



エレベーターの中、宮城は理性と闘ったのは言うまでもない。







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