オリジナル

□箱
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「よいしょっと……これで全部?」
「っと……!!うん、今ので最後だ。」
そう言い終えると同時に、ドスンと振動がした。目の前には部屋の中にいくつも並ぶ箱のみ、普通なら淋しい風景だが俺には楽しみで堪らなかった。

「着替えとか、生活用品だけ出しておこうか。」
生活用品とマジックで殴り書きされた箱を探そうと後ろを向いた途端、背中に重く汗だくの塊がのしかかって来る。
「それよりちょっと休憩。流石に疲れた…。」
どうやら珍しく本当にバテている様だ。俺ときたら全然余力があるというのに。まぁ、軽い荷物しか運ばせて貰えなかったし、お前の代わりだとか何とか言われて殆ど代わりに運んで貰ったから当然と言ったら当然だ。
「了解。じゃあお茶でも煎れるから休んでてよ。」
ガスくらいもう通ってるだろうと考えながら、箱に手をかけ立ち上がろうとした。が、重くて立ち上がれない。動く気が無い様だ。
「どうした?」
「…………なんかさぁ、」
もぞもぞと背中に微かな動きを感じるがそれきり続かない。
「うん…………そうだな。しばらく何もしたくない。」
そう言いながら息を吐き、俺も体重を預け力を抜く。

手が触れる。

「静かだな…。」
「日当たりも良いし、やっぱりここにして良かったね。」

指が絡まる。

「静かだ……。」
「うん。」

肩に頭が乗せられ、目が合う。

これからまた、宜しく。
そう眼が言ったのを感じた。

こうやって また 繰り返して行くのな…。

また、宜しく。
俺はおでこに頬を当て、そう口を動かした。
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