カップリング
□耳掃除
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うららかな木漏れ日が木々の隙間からいり込む午後、犬夜叉は一人で井戸の近くに立っている木の下に寝そべっていた。
四魂のかけらを探す旅をしている彼らであるが、この梅雨の時期になるとかごめはテストがあるとしきりに現代に帰りたがる。
「何ぃ!?また帰るだとぉ!」
「仕方ないじゃない!四魂のかけらを探すのも大切だけど、私にだって私の生活があるんだから!」
もはや見慣れた光景であるが、二人はこの時期になるときまってこの喧嘩をする。傍観している珊瑚や弥勒たちは二人に背をむけて、ただ空を眺めて二人の決着がつくことを待っていた。
「そんなにてすとが好きなのかお前は!」
「好きなわけないでしょー!もういいわよっおすわりー!!」
散々お互いにわめきあうと、かごめは決着をつけるとばかりに言霊を唱える。すると犬夜叉の首にかかった数珠が鈍くひかり、彼の体はそのまま地面に叩きつけられた。
「かっかごめ!てめー!」
「じゃっいって来るね皆!」
「いってらっしゃーい」
叩きつけられ、泥まみれの顔をあげる犬夜叉を尻目に、かごめは仲間に手を振って井戸に飛び込む。そんな彼女に答えるように仲間も手をふり、やがて各々村へ帰るべく足を進めた。
「まっまだ話は終わってねぇだろーがぁ!!」
「もー犬夜叉もあきらめなよ、私たちも少し休めばいいじゃない」
かごめがいなくなった井戸を覗き込んで叫ぶ犬夜叉を、仲間の珊瑚がねめつけた。そんな彼女の言葉を聞いてか、犬夜叉はふんと悪態をついて御神木の下に寝そべった。