カップリング

□参謀の変化
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「ん…もう朝か…」

障子の向こうから差し込む光に眉根をひそめながら、煉骨は目を背けるように寝返りを打った。彼はこの外道集団の中で一番早く行動を始める。
野郎7人生活、下女なりなんなりいればよいのだが移住を繰り返し戦に赴く稼業を営む彼らに身の回りの世話をする人間を雇うことも特定の女をつくることもできない。
となれば困るのは家事、もともとそんなことをする集団であるわけがなく 副将である煉骨がそれを一手に引き受けている。

「ちっ…」

煉骨はしばらく現実逃避をするかのように布団にもぐりこんでいたが観念したのか、のそりと寝床から重い腰を上げた。
冬場の冷たい空気が綿布団から出てきた煉骨の体に容赦なく取り巻く。煉骨は身震いをしながら畳の上を歩いた。
すると、ふと自分の後ろからずるずると何かを引きずる掠れた音がする。

「一体何の音…?…?!」

振り返った煉骨は声にならない悲鳴をあげた。そしてふと自分の両手に目をやり、さらに体を撫で回して慌てた面持ちで鏡の前へ走りよった。

「何で…なんで?…嘘だ…!」

驚愕のあまり煉骨は鏡の前で愕然とする。引きずっていた音の正体は自身の着物であった。見慣れた関節の浮き出るほど細い指が子供特有の丸みを帯びた手になり、鏡に移ったその姿は10、11才ほどの子供の姿である。

「お〜い煉骨!さっきの悲鳴どうしたんだ?……いっ!?」

先ほどの悲鳴を聞きつけ、隣室で寝ていた睡骨は眠気眼をこすりながらふすまを開く。しかし煉骨の姿を見たとたん、それまで感じていた眠気はかき消された。
愕然とした面持ちでこちらを見ている、小さな少年に


「参謀の変化」
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