拍手置き場
□第三回拍手小説
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「おい」
ふとリナの耳に聞きなれた声が聞こえ、自分が伏している机をとんとんと叩く音がする。
「ふにゃ…?」
「もう閉まるぞ ここ」
「嘘っ!?」
リナは彼の声に我に返ると、かばんの中に入った携帯を開く。8時53分をデジタル文字が携帯の画面いっぱいに示している。
「やばっ!私もしかしてずっと…?!」
「…少なからず俺がきたときには寝てたし、一回も起きてなかったな」
驚愕してうろたえるリナは飄々とした声でいう煉骨の方を向き直った。彼は相変わらず冷淡な目で彼女を一瞥すると、自分の荷物を片付け始める。
リナがあたりを見回すと、自分たち以外誰も残っていないことに気がついた。
「どうした?片付けないのか?」
「えっあっ?!」
彼の一言にはじかれるように、リナは慌てて自身の荷物を乱雑にかばんへ押し込んだ。
「(寝顔…見られたかなぁ…よだれとか出てなかったよね?)」
リナはそんなことを考えながら、誰もいない静まった図書館を後にした。
「外…真っ暗だ」
そう独り言を言うとリナは空を仰ぎ見た。空には多くの星が燦々と輝いている。