拍手置き場
□第二回拍手小説
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初、睡骨夢
「なぁ花見に行かねぇか?」
携帯の日付が翌日へ跨ぐ頃、唐突に睡骨から連絡があった。
「なっ…今何時だと…!」
ホナミはメールを凝視しながらしばらく苦笑を浮かべた。元々常識を気にする男でないことは知っていたが…
「たまには一緒に散歩してぇんだって!付き合えよ」
彼からのメールは相変わらず絵文字もなく素っ気無い。二人の関係は同じ職場で出会い、ホナミは彼の飾り気のない性格に意気投合し今に至る。
しかし、付き合ってみればホナミは驚愕の連続だった。相手は多重人格な上、羅刹顔の方は常識に欠けていたからだ。
「第一花見だなんて、この間の雨でほとんど散っちゃったじゃん。葉桜だよ?」
ホナミはメールを返しながら、窓から見える近所の桜並木を眺めた。満開の時期を過ぎた桜たちは、日に日にその短い花盛りの花弁を散らしている。それにとどめをさすかのように、先日梅雨並みの雨が降ったばかりだ。