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□【同窓会1】
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それは一通の封筒から始まった。
いつものように膨大な量の書類と格闘していると、間に挟まっていたのか、ソレがヒラリと手元に落ちてきたのだ。

なんだろうと思って、封を切り、中身を見ると手紙とはがきが一枚入っていた。
はがきの送り主を確認すると、そこには懐かしい名前。


「……京子ちゃん……だ」


頭に浮かぶのは可愛らしく微笑んでいる、かつて、自分が恋焦がれた彼女。


「元気にしてるのかなー……」




イタリアに渡るとき、ハルと泣きながら空港まで見送りに来てくれた。
言うつもりなんてなかったのに。
それにオレは彼女から、大事なお兄さんを奪ってしまった。
良平さんは、当たり前だとでも言うように、快くイタリア行きを承諾してくれたけれど。


「ハルたちに黙ってるなんて百年早いです!」
「そうだよっ!私たちも……」


ごめん、ごめんね。
それは出来ないんだ。
あのときは、その言葉しか頭に浮かばなかった。

だから、突き放すように「行ってきます」とだけ言った。
頭のいい彼女たちのことだ。
それだけで、オレが何を言わんとするのか、わかったのだろう。

涙を拭いながら「ツナくんのバカ……」と呟いた。
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