Text[復活]
□【誕生日】
1ページ/6ページ
【誕生日】
今日は10月10日。
10が2つつく名前と一緒のアイツの誕生日だ。
「誕生日プレゼントあげなきゃいけないよな〜。一応親戚でもあるし……」
そう、おれの目下の悩みは誕生日プレゼント。
昔よりは格段に話しやすくなったとはいえ、やっぱり本人に何が欲しいのか聞くのは躊躇われる。
こういうのはサプライズだから嬉しいものもあると思う。
ああでもないこうでもないと悩んでると、前からルッスーリアが歩いてくるのに気づいた。
ちょうどいい、彼(女?)なら何か良いアイディアがあるかもしれない。
「ルッスーリア!」
「あら〜ツナちゃん!ご機嫌いかが?」
……ルッスーリアは相変わらずらしい。
おれに気づいた彼は勢いよく抱きついてきた。
最初は驚いたものだが、今ではスキンシップだと自分の心に言い聞かせている。
「うん、元気だよ。それで今日のことなんだけど」
「ああ!ボスの誕生日ね!」
今日という単語だけで、何のことかわかったらしい。
さすが記念日などの特別な単語にうるさい彼だ。
「実はプレゼントに悩んでて……ルッスーリアは何をあげるの?」
おれが頭を掻きながら訊ねるとルッスーリアは得意そうに笑い、ごそごそと何やら取り出してきた。
それは綺麗にラッピングされており、良い匂いがする。
「アタシ、ボスのために一生懸命クッキー焼いたの!もちろん甘さひ・か・え・め!」
「へぇ〜美味しそうだね。参考になったよ」
ルッスーリアはクッキーかぁ。
他にも誰かに訊いてみよう。