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□【ボスの憂鬱】
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【ボスの憂鬱】
イタリアに渡って、8年。
世界でも格式・伝統、ともに高いと言われるマフィア、ボンゴレファミリーの10代目を襲名して、4年。
綱吉は、自分でもよく成長したなと思う。
もちろん、ここまでこれたのは自分の力だけでなく、中学時代からの友人や先輩達の尽力もあってのことだ。
それはとても感謝している。とても。
「……それでもこればっかりは……」
彼はちらりと、机の前で喧嘩している守護者達を見つめた。
「てめぇ!今日の護衛は俺が行くって言ってんだろーが!」
「君こそ何言ってるの?僕が行くんだよ」
「あはは、こればっかりは譲れねーのなー」
「揃って煩いですね。行くのは僕です」
「お、俺も行きたいです……」
「うむ、それなら極限に拳で決めるぞ!」
喧嘩の原因は、綱吉の護衛。
晴の守護者が言った途端、守護者達は揃って、己の得物を取り出し構える。
その様子は何か合図があれば、すぐにでも戦いが始まりそうで。
綱吉は慌てて椅子から立ち上がり、仲裁に入る。
以前、我関せずを貫いたら屋敷が半壊するという大惨事になったのだ。
もちろん、修理費は半端なく高額になるは、余計に仕事は増えるは、ろくなことがなかった。
そのとき、彼は死ぬほど彼は後悔した。どうして止めなかったのだと。
(もう、そんなのはごめんだ。)
綱吉は、息を軽く吸い込むと屋敷中に響くのではないかというくらい大声で叫んだ。
「喧嘩したら、護衛はなしー!!」